人類博物館

人類博物館（Musée de l'Homme）は、フランス・パリに位置する博物館で、人類学、民族学、先史学に関する貴重なコレクションを所蔵しています。この博物館は、1937年のパリ万国博覧会を機に、著名な民族学者ポール・リヴェによって創設されました。そのルーツは、1882年に設立されたトロカデロ民族誌博物館にあり、さらに遡ると16世紀の珍品陳列室や王室のコレクションにまでつながります。

博物館は、1878年のパリ万国博覧会で建設されたシャイヨ宮のパッシー側に位置し、その広大なスペースを利用しています。この場所は、かつてトロカデロ民族誌博物館があった場所でもあります。人類博物館の目的は、人類の起源から現在に至るまでの進化、多様性、文化的な側面を包括的に展示することです。具体的には、先史時代の人類、人類学的な観点からの統一性と多様性、そして民俗学的な視点からの文化的・社会的表現を扱っています。

博物館のコレクションは、19世紀を通じて拡充され、現在もその活動は継続しています。展示物は、人類の進化に関する化石や考古学的遺物、世界各地の民族文化に関する資料、美術品など多岐にわたります。これらのコレクションは、人類の歴史と文化を理解するための貴重な資料となっています。

また、人類博物館は単なる展示施設ではなく、研究機関としての側面も持っています。フランス国立科学研究センター（CNRS）と連携した研究センターが併設されており、人類学、民族学、先史学などの分野で活発な研究活動が行われています。

なお、展示の一部は、ケ・ブランリ美術館に移設される予定です。また、1974年まで、この博物館にはサラ・バートマンの遺体が展示されていました。サラ・バートマンは、19世紀初頭にヨーロッパで展示された南アフリカ出身の女性で、その悲劇的な生涯は現在も議論の対象となっています。

人類博物館は、人類に関する深い理解を促進し、その多様性と複雑さを探求する重要な拠点です。人類学、民族学、考古学に関心を持つ人々にとって、見逃せない場所と言えるでしょう。

関連事項
人類学（Anthropology）
パリ16区（XVIe arrondissement）
パッシー（Passy）
ポール・リヴェ（Paul Rivet）
珍品陳列室（cabinets of curiosities）
フランス国立科学研究センター（CNRS）

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