人魚亭異聞 無法街の素浪人

『人魚亭異聞 無法街の素浪人』の魅力

『人魚亭異聞 無法街の素浪人』は、1976年の春から秋にかけて、NET（現在のテレビ朝日）で放送されたテレビ時代劇です。全23話で構成されており、主演は名俳優の三船敏郎が務めていました。この作品は、明治維新後の混乱した横浜を舞台にしている点が特徴的です。

物語の中心には、「Saloon Mermaid人魚亭」というラウンジホテルがあります。このホテルは「水中レヴュー」というショーを扱っており、浪人である通称「ミスターの旦那」が悪党から人々を救う姿が描かれます。作品内では、当時の交通事情を反映しており、東京と横浜の間はまだ東海道本線が開通していないため、駅馬車での移動が必要でした。この設定は、視聴者に強い西部劇の雰囲気を与えます。

また、物語にはチャンバラと拳銃の早撃ちバトルが組み合わさり、さまざまな髪型や衣装を持つキャラクターが登場します。例えば、ちょんまげと洋服を着た人物や、島田髷を結いネックレスを身に着けた女性が街を歩く様子は、時代劇と西部劇の面白い混合を表現しています。この独特な世界観は、多くの視聴者を引きつけました。

制作スタッフも豪華で、プロデューサーの勝田康三と木村博人が作品を支え、音楽は平尾昌晃の手によるものです。衣装協力には浅草仲満が、さらに水中バレエには近藤玲子水中バレエ団が関わっています。

レギュラーキャスト

作品には、多彩なキャラクターが登場し、一層物語を華やかにしています。三船敏郎が演じるミスターの旦那をはじめ、若林豪が千鳥玄之進、小川真由美が人魚亭のマダム北小路冴子を演じています。そのほかのキャストには、大村崑の平助や、夏夕介の譲次、山内えみこのお千代、赤木宣子のおけい、オスマン・ユセフのヘボン先生が揃っており、幅広い役割がオーディエンスに楽しませました。

放送と後の展開

当番組は1976年4月28日から9月22日までの約5か月にわたり放送され、視聴者からの支持を受けました。DVDは2005年にポニーキャニオンから発売され、以来再放送も行われています。特にファミリー劇場や時代劇専門チャンネルは定期的にこの作品を放送し、ファンの間での人気が根強いことを示しています。

『人魚亭異聞 無法街の素浪人』は、その独特な設定やキャラクター、職業、そして豪華なスタッフ陣によって、ただの時代劇ではなく、時代劇と西部劇の新たな融合を試みた異色作として今も語り継がれています。

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