仁木義長

仁木義長の生涯

仁木義長（にき よしなが、1300年またはそれ以前 - 1376年）は、室町時代前期に活躍した武将であり、通称は仁木次郎四郎です。彼は越後守や右馬権頭、修理亮といったさまざまな官職を歴任しました。父は仁木義勝、兄は仁木頼章、そして子には仁木義員と仁木満長がいます。

出身と家系

義長は三河国額田郡仁木郷（現在の愛知県岡崎市仁木町）に生まれました。仁木氏は清和源氏足利氏の一族に属し、同族の細川氏や高・上杉氏とともに足利氏の家臣団の中で重要な位置を占めていました。義長は兄の頼章と共に足利尊氏に仕え、尊氏の信任を受けて多くの戦争に参加しました。

活躍と戦い

元弘3年（1333年）、後醍醐天皇が建武の新政を始めると、義長は尊氏の弟、足利直義に従い関東を治めるための転任を果たしました。しかし、建武2年（1335年）に北条高時の遺児、時行の軍が挙兵し、鎌倉に攻め入ると、彼は直義とともに逃走を余儀なくされました。

その後、尊氏が後醍醐天皇に反旗を翻し敗れ、九州に下向する際には彼に供奉し、筑前多々良浜の戦いで功績を上げました。建武3年（1336年）4月、尊氏が東上する際には、一色範氏や小俣氏と共に九州に残り、南朝の勢力に対抗しました。

室町幕府での役割

尊氏が室町幕府を樹立し初代将軍となると、義長は京都に上り、備後や遠江、伊勢、伊賀、志摩などの守護や侍所頭人などの地位を歴任しました。しかし、尊氏派と直義派の対立が深まる中で、彼は兄の頼章と共に尊氏派に属し、抗争に参加しました。高師直が殺され、頼章が後任の執事となると、義長もその影響を受けて守護国が増加し、仁木氏は一時的に9つの国を有するまでに権力を増しました。

権力の変遷と没落

しかし、時間が経つにつれ、義長はその権力を背景に驕りや奢侈を重ね、敵を作ることが多くなります。延文3年（1358年）に将軍尊氏がこの世を去り、兄の頼章が続けて亡くなると、明らかに後ろ盾を失った義長は、敵対する細川清氏や土岐頼康らによる排斥の危機に直面します。

延文5年には、南朝の残党を討伐する名目で義長の討伐計画が持ち上がりました。彼は将軍義詮を拘束しようとしましたが失敗し、本国の伊勢に逃げ込み、最終的に南朝に降伏します。その後、しばらくは目立った活動を行うことはなく、細川清氏や畠山国清が没落すると、再び幕府に帰参し伊勢守護に任命されますが、すぐに罷免されてしまいます。

死亡

仁木義長は永和2年（1376年）に亡くなりました。彼の遺骨は神山城近くの寺院・一乗寺に埋葬されています。仁木義長は、その生涯を通じて武将としての役割を果たしながらも、最終的には権力の移ろいやその後の自己の行動が、彼の勢力を衰退させる要因となったのです。

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