仁義 (映画)

映画『仁義（Le Cercle Rouge）』の魅力

『仁義』は1970年に製作されたフランス・イタリアのフィルム・ノワールで、ジャン＝ピエール・メルヴィル監督が手掛けた作品です。主演のアラン・ドロンをはじめ、イヴ・モンタン、ジャン・マリア・ヴォロンテ、ブールヴィルなど豪華なキャストが集結しています。この映画はメルヴィル監督の遺作としても注目され、彼のスタイルを象徴する作品となっています。

作品の背景と成功

『仁義』はフランス国内で433万人以上の観客を動員した大ヒット作として知られていますが、日本では上映時間が20分も短縮されるという不遇の扱いを受け、興行的には振るいませんでした。このような状況から、本作は国による評価の違いを顕著に見せる例でもあります。

あらすじ

物語は、マルセイユ近郊の刑務所から出所したコレーが、かつての仲間リコに再会を果たすところから始まります。しかし、リコに「貸し」を求めるも、断られてしまいます。コレーは彼を威圧し、高額な金を手に入れた後、パリへと向かう途中に、護送中に脱走したヴォーゲルと出会います。彼の車のトランクに潜り込むヴォーゲル。そして運命的な出会いが二人の友情を育むことになります。

しかし、コレーはリコの追手に捕まってしまうが、ヴォーゲルの助けを借りて逃げ出すことができます。その際、銃撃戦でリコから奪った札束が損傷を受けてしまい、使用できなくなります。経済的に困窮したコレーは、出所前に看守から提案された宝石店襲撃の話を思い出し、実行を決意します。

新たに仲間となるのは、ヴォーゲルの旧友で元警官のジャンセン。彼らは計画を進めていく中で、ヴォーゲルを追う刑事マッティによる巧妙な罠に直面することになります。

音楽と影響

当初の音楽担当はミシェル・ルグランが予定されていましたが、最終的にはメルヴィルに却下されました。ルグランの作曲は後に『黒い輪』のタイトルでサントラCDに収録され、映画に関わった重要な一面となりました。また、作品の演出スタイルはジョン・ヒューストン監督の『アスファルト・ジャングル』に影響を受けたといわれています。

さらに、映画『仁義』の名声は影響力を持ち、ジョン・ウーやジョニー・トーといった香港の著名映画監督がリメイクを試みましたが、実現には至りませんでした。

評価と後の影響

本作は日本の映画監督やアニメ監督たちからも高く評価され続けており、特に小林政広や渡辺信一郎は自身の選ぶベスト作品に名を連ねています。淀川長治もその存在を高く評価し、テレビ番組で解説を行ったことで、本作の魅力が広まることに寄与しました。

主なキャスト

• - コレー：アラン・ドロン
• - ジャンセン：イヴ・モンタン
• - ヴォーゲル：ジャン・マリア・ヴォロンテ
• - マッティ：ブールヴィル
• - サンティ：フランソワ・ペリエ
• - リコ：アンドレ・エキナン

『仁義』は、フィルム・ノワールの風格を持った犯罪映画として、未だに多くの観客を魅了してやまない作品です。

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