仁連宿

仁連宿について

仁連宿（にれいしゅく、にれいじゅく）は、江戸時代の日光東街道（関宿通多功道）に設けられた宿場町の一つです。現在の茨城県古河市仁連にあたります。日光東街道は、江戸と日光を結ぶ重要な街道であり、仁連宿はその途上に位置していました。

歴史

仁連宿の成立は、正保4年（1647年）に、仁連村の名主である善右衛門が街道を通る荷物の馬継ぎを始めたことに端を発します。翌慶安元年（1648年）には、幕府がこれを正式に追認し、宿場町としての機能が確立しました。宿場の管理は主に幕府が行いましたが、寛永16年（1639年）から享保10年（1725年）までの間は、下野国の壬生藩の領地となっていました。

町の概要

享和3年（1803年）の記録によると、仁連宿には122軒の家があり、人口は550人でした。内訳は男性が294人、女性が247人、出家が4人、山伏が2人、道心が3人でした。また、17疋の馬が飼育されていました。町は上町、下町、御辺、江口の四つの区域に分かれていました。

宿場には本陣が一軒ありましたが、脇本陣は設けられていませんでした。本陣は鈴木家が務め、名主と問屋の役割も兼ねていました。宿場の位置は、現在では県道17号線沿いにあたり、仁連十字路から南に約400m下った、東漸寺と妙厳寺の周辺です。

寺社

仁連宿には、歴史のある寺社がいくつか存在します。

東漸寺：真言宗の寺院で、山号は「青谷山」です。平安時代末期の文治5年（1189年）に覚法によって開基されました。古河市前林の東光寺の末寺であり、その一字をとって東漸寺と名付けられました。文明5年（1469年）には、松橋流の真言密教が伝えられました。
妙厳寺：天台宗の寺院で、山号は「鷲宮山」です。過去帳によると、尊秀によって開山されました。文和年間（1352～1355年）には住持として秀永の名前が残っており、それ以前に開山されたと考えられています。寛文5年（1665年）には、幕府から御朱印地10石が与えられました。
天満社：仁連御辺の台地上にある神社で、祭神は菅原道真です。鎌倉時代の弘安年間（1278～1287年）に創建されましたが、室町時代の永享の乱で焼失し、江戸時代の寛永年間（1624～1643年）に再建されました。慶安元年（1648年）には、将軍徳川家光から御朱印地3石が与えられました。

助郷の村々

宿場町では、参勤交代や公用の人や物を運ぶために、常に人馬を準備しておく必要がありました。そのため、近隣の村々が助郷として指定され、必要に応じて人馬を提供しました。仁連宿の場合、特定の助郷村は定まっていませんでしたが、必要に応じて近隣の村に要請していました。

壬生藩領だった時期には、藩が領内の村から割り当てていました。山田村、柳橋村、新和田村などがその例です。幕府領の時期には、道中奉行所に願い出る形式になりました。嘉永3年（1850年）には、老中阿部伊勢守の日光登山のために、東山田村、沓掛村、生子村、大生郷村など50の村が助郷として動員されました。

隣の宿場

日光東街道における仁連宿の隣の宿場は、以下の通りです。

谷貝宿
諸川宿

まとめ

仁連宿は、日光東街道における重要な宿場町として、江戸時代の人々の往来や物資の輸送を支えました。宿場町としての歴史だけでなく、周辺の寺社や助郷村との関わりなど、様々な側面からその歴史を紐解くことができます。

参考文献

古河市三和資料館 編　『日光東街道　諸川・仁連・谷貝町～景観いま、むかし～』 古河市、平成24年（2012年）
三和町史編さん委員会 編　『三和町史 通史編　原始・古代・中世』 三和町、平成8年（1996年）
三和町史編さん委員会 編　『三和町史 通史編　近世』 三和町、平成12年（2000年）

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