今だから

夢の競演から生まれた名曲「今だから」：制作からCD化まで

1985年、日本の音楽シーンに衝撃を与えた楽曲「今だから」。松任谷由実、小田和正、財津和夫という、3人の実力派シンガーソングライターが作詞作曲でタッグを組み、その唯一無二の存在感を示した作品です。編曲は、音楽史に名を刻む坂本龍一が担当。さらに、高橋幸宏、後藤次利、高中正義といった、日本の音楽シーンを代表するミュージシャンたちが参加し、楽曲に深みと彩りを添えています。まさに豪華絢爛な布陣と言えるでしょう。

小田和正氏によると、当時そのようなコラボレーションという言葉はなく、「一緒にやろう」というシンプルな言葉から始まったプロジェクトだったそうです。しかし、制作過程は意外にも、松任谷由実氏と小田和正氏の主導で進められたと財津和夫氏が証言しています。財津氏は自身の意見を述べようとしても、「まあまあ、それはいいから」と優しく制止され、結果的に曲には財津氏の個性が色濃く反映されることはありませんでした。それでも、この曲がオリコンチャートで2週連続1位を獲得した事実に、財津氏は満足感を示しています。

「今だから」は、1985年6月15日には、国際青年年イベント「国際青年年記念 ALL TOGETHER NOW」で、国立競技場という大舞台で披露されました。この時、レコーディングメンバーに加え、加藤和彦氏も加わった「Sadistic Yumi Band」をバックバンドに迎えての演奏は、多くの観客を魅了したに違いありません。

しかし、この歴史的名曲は、長らくCD化されないまま時が流れました。ラジオやテレビの歌謡番組ではオンエアされるものの、CDで聴くことができないという状況が続きました。オリコンシングルチャート1位を獲得した楽曲としては、異例の事態でした。そのため、多くのファンは、局所有の7インチシングル盤を頼りに聴き続けてきました。

そして、2023年12月20日、ついにその待望のCD化が実現しました。松任谷由実のベストアルバム『ユーミン乾杯!!』に、Goh Hotoda氏によるリマスタリング音源として収録されたのです。38年の歳月を経て、ようやく多くのファンが手軽にこの名曲を聴けるようになったのです。さらに、同アルバムにはシークレットトラックとして「今だから (another version)」も収録されており、ファンにとっては何ものにも代えがたい喜びとなっています。

「今だから」は、豪華なメンバーが集結し、奇跡のような化学反応を起こした楽曲です。その制作秘話や、長年の未CD化を経てのリリースまでの道のりは、音楽史に残るエピソードと言えるでしょう。この曲は、これからも多くの人々に愛され、歌い継がれていくことでしょう。 楽曲が持つ普遍的な魅力と、音楽業界における様々な関係者たちの努力によって、この名曲は永遠に輝き続けることでしょう。

この楽曲が生まれた背景、そしてリリースまでの道のりを辿ることで、音楽史における重要な一ページを垣間見ることができます。単なるヒット曲ではなく、日本の音楽シーンに大きな足跡を残した「今だから」の物語は、これからも多くの人々に語り継がれていくことでしょう。 それぞれのアーティストの個性が交錯し、時代を超えて愛される名曲が誕生した瞬間を改めて振り返り、その魅力を再確認したいものです。

もう一度検索