今井弘道

今井弘道の生涯と業績

今井弘道（いまい ひろみち、1944年10月28日 - 2023年10月15日）は、日本の著名な法学者であり、法哲学と法思想史の分野で多大な貢献を果たしました。彼は北海道大学の名誉教授であり、元東アジア法哲学学会の理事長を務めました。上海市に生まれた今井は、1970年に京都大学法学部を卒業し、その後名古屋大学大学院法学研究科の修士課程を修了しましたが、京都大学の博士課程は中退しました。

学問の道

彼のキャリアは1974年から始まり、最初は京都大学法学部の助手に着任し、その後新潟大学や北海道大学で助教授、教授として活躍しました。特に1982年には北海道大学法学部の教授に、2001年には同大学院法学研究科の教授になり、2008年には定年退官し名誉教授となりました。

教育者としての今井は、学問の枠を超えた視野を学生に提供し、多くの学びを還元しました。日本での教育活動を終えた後は中国に渡り、浙江大学光華法学院で特聘教授として教鞭を執りました。彼の教えを受けた学生たちは彼を非常に慕い、多くの後進に影響を与えました。2019年に同大学を退職するまで、彼は多くの重要な教育活動を行い、法学の発展に寄与しました。

健康の課題と継続する研究

2019年6月、今井は脳梗塞を患い入院。その後、後遺症により体が不自由となったにもかかわらず、彼はリハビリに励みながら自身の研究活動を続けました。彼のその姿勢は、学問に対する真摯な姿勢を示しており、多くの人々に感銘を与えました。2023年10月15日、北海道で逝去するまで、彼は自身の目指す研究の完成に向けて努力していました。

研究領域

今井弘道の研究領域は広範であり、特に初期ヘーゲル法哲学やカント法哲学、マックス・ウェーバー、ハンス・ケルゼン、そして丸山真男に焦点を当てました。彼の研究は、日本およびアジアにおける法思想の発展に重要な影響を与えており、その成果は多くの著書や論文にまとめられています。

主な著作

彼の著作は、その豊かな学問的背景を反映しており、以下のような作品があります：

• - 『手続きを通しての正統化』N・ルーマン著、今井訳（1990年初版、2003年新装版）
• - 『「市民」の時代』編著（1998年）
• - 『変容するアジアの法と哲学』編著（1999年）
• - 『新・市民社会論』編著（2001年）
• - 『丸山真男研究序説「弁証法的な全体主義」から「八・一五革命説」へ』（2004年）
• - 『三木清と丸山真男の間』（2006年）
• - 『発展する東アジアの法学と課題』編著（2008年）
• - 『法学のクレオール序説』分担執筆（2012年）
• - 『法思想史の新たな水脈 私法の源流へ』分担執筆（2013年）

彼の業績は、法哲学や思想史における重要な資産として、今後も学問の発展に寄与していくことでしょう。今井の人生は、学問に対する情熱と教育への献身によって彩られました。彼の理論や考え方は多くの人々に影響を与え、法学の世界を深めるように働きかけてくれることでしょう。

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