今井時郎

今井時郎は、1889年2月10日に生まれ、1972年4月11日に没した日本の社会学者です。彼は東京帝国大学（現在の東京大学）で教授を務め、日本の社会学の発展に大きく貢献しました。

1913年に東京帝大哲学科社会学専修を卒業後、1917年にロシアのペトログラード（現在のサンクトペテルブルク）へ留学しました。その後、アメリカ合衆国を経由して1920年に帰国し、同年9月には東京帝大の助教授として社会学の講義を担当しました。彼の講義は、当時の学生たちに大きな影響を与えたとされています。

1941年からは、東京市の教育局長をはじめとする要職を歴任しました。しかし、第二次世界大戦終戦後の1948年から3年半余りの間、公職追放の処分を受けました。これは、戦時中の彼の活動がGHQ（連合国軍最高司令官総司令部）によって問題視されたためと考えられます。

公職追放解除後は、東京学芸大学、大正大学、淑徳大学などで教鞭を執り、再び教育者としての道を歩みました。彼は社会学の普及と発展に尽力し、多くの学生を育成しました。彼の教え子の中には、後に日本の社会学界を牽引する人物も現れました。

今井時郎は、社会学の理論研究だけでなく、社会調査や社会問題の解決にも積極的に取り組みました。彼は、社会学を単なる学問としてではなく、社会の発展に貢献するための実践的な学問として捉えていました。彼の研究姿勢は、現代の社会学者にも大きな影響を与えています。

著書

『革命及宣伝』近衛文麿共著 冬夏社、1922年。
『社会学大綱』巌松堂書店、1929年。
『社会誌学研究法』巌松堂書店〈露西亜社会誌 第1分冊〉、1929年。
『社会学概論』中和会事務所、1935年。
『群衆社会学』高陽書院、1937年。
『社会学の話』宝文館、1948年。
* 『社会学とは何か 社会と人間』松浦孝作、関敬吾共編 誠文堂新光社、1954年。

これらの著書は、今井時郎の社会学に対する深い洞察と幅広い知識を示しています。特に、『社会学大綱』や『社会学概論』は、社会学の入門書として多くの学生に読まれました。また、『群衆社会学』は、当時の社会情勢を反映した研究として注目されました。

今井時郎は、日本の社会学の発展に多大な貢献をした人物として、その功績は今日でも高く評価されています。

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