今井環

今井 環（いまい たまき）は、1953年6月3日生まれの日本の元放送局職員、団体役員。

経歴

愛光高等学校を卒業後、東京大学文学部で学び、同大学を卒業した。

1976年（昭和51年）、NHKに入局。キャリアの初期には、地方局である仙台放送局や青森放送局三沢報道室（現在の三沢支局）などで放送業務の基礎を学んだ。

1981年（昭和56年）からは報道局の政治部に配属され、記者としての活動を開始した。自民党内の主要な派閥、特に木曜クラブや経世会といった当時の有力なグループを中心に取材を行い、日本の政治動向を深く追いかけた。

1993年（平成5年）には活躍の場を海外に移し、ワシントン支局に赴任した。アメリカ合衆国の政治中枢であるホワイトハウスや、国家の安全保障を司る国防総省といった重要な機関を担当し、国際情勢に関する報道に携わった。

帰国後は、報道局取材センター政治担当記者を経て、2001年6月には同統括担当部長に昇進した。2002年6月には報道局記者主幹となり、組織内の要職を歴任した。

この間、2002年4月から2006年3月にかけては、夜間の主要ニュース番組である『NHKニュース10』のメインキャスターとして、硬派なニュースから特集まで幅広く担当し、全国の視聴者にニュースを伝えた。キャスターを務めた後、2006年6月より報道局編集主幹を務め、報道方針の決定や番組制作の統括など、組織の重要な役割を担った。

特に、2008年6月から2012年4月までの約4年間はNHK理事として、経営や組織運営に関わる重責を担った。予算編成、人事、事業計画の策定など、公共放送の運営における多岐にわたる課題に取り組み、組織全体の方向性決定に深く関与した。

NHK理事の任期を終えた後、2013年4月にはNHKの関連事業を担うNHKエンタープライズに移り、経営主幹を務めた。同年6月には専務取締役に就任し、翌2014年6月には代表取締役社長に昇格。同社の経営トップとして、NHKのコンテンツを活用した番組制作やイベント企画、版権管理といった多角的な事業を統括し、収益力強化や新たなビジネス展開を推進した。

NHKエンタープライズ社長在任中の2016年3月からは、公共放送以外の分野にも貢献を開始し、公益財団法人日本相撲協会の外部理事に就任した。組織の透明性向上やガバナンス改革などに貢献した。同年6月には、日本のクラシック音楽界を代表する存在である公益財団法人NHK交響楽団の理事長にも就任し、その運営や芸術活動の支援に携わった。

2018年6月にNHKの職員としての籍を離れたが、その後も公益的な活動を継続。現在も日本相撲協会の年寄資格審査委員会委員長として、相撲界の運営と将来に関わる重要な役割を担っている。

人物・言動

組織運営における公正性や透明性を重視する姿勢が知られている。特に、NHKの当時の会長を巡る一連の騒動に関連して、早期の沈静化を願うコメントを発表したことがある。また、当時の会長が理事に対して辞表の提出を求めたとされる件については、自身のNHK理事経験を振り返り、「理事に対して辞表の提出を求められるような経験はなく、その事実に驚いた」「一般にはよくあることだという指摘もあるようだが、私自身の経験では耳にしたことがない」と述べ、一般的な慣行ではないとの認識を示している。

家族

父はジャーナリストであり実業家でもあった今井琉璃男氏（1928年生まれ）。愛媛新聞社の会長や愛媛CATVの社長などを歴任し、地域の情報文化の発展に貢献した人物である。

関連項目

* 影山日出夫：今井氏とNHK同期入局であり、後にNHKの解説委員として活躍した人物。

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