今市ダム

今市ダムの概要

今市ダム（いまいちダム）は、栃木県日光市に所在し、利根川水系砥川に築かれた重力式コンクリートダムです。このダムは東京電力リニューアブルパワーが運営し、揚水式水力発電所である今市発電所の下池を形成しています。ダムの高さは75.5メートルで、栗山ダムとの間で水を行き来させることで、合計で最大105万キロワットを発電できる構造になっています。

歴史的背景

今市ダムの建設は、明治時代から続く鬼怒川での水力発電開発の流れの中で行われました。東京電力は、電力需要の増加に応えるため、砥川の支流を利用した新しい揚水発電所の建設を計画しました。これは、昼夜の電力供給の不均等を解消する目的を持つ純揚水式発電所として設計されました。

1978年に建設工事が開始され、将来的に必要となる上池・下池を形成するために2基のダムが建設されました。今市発電所では、地表から100メートル下に人工の空間を作り、その中に水車発電機や変電設備が設置されています。この発電所では、従来の発電方法とは異なり、タマゴ形の断面を持つデザインで掘削が行われました。掘削で出た岩石は、今市ダムの堤体コンクリートの骨材として使用されています。

栗山ダムの建設も並行して進行し、1988年には発電機が1台稼働を開始、その後1991年に残りの発電機が設置されることで、今市発電所は完成しました。この発電所は、フランシス形ポンプ水車を3台設置し、1台あたり最大35万キロワットの出力を持ち、合計で105万キロワットを生む能力があります。

発電と送電

生成された電力は50万ボルトで送電され、この高電圧は東京電力の水力発電所としては初の試みでありました。このシステム以降、新たに建設される同社の揚水発電所も全て50万ボルトの送電線に接続されています。

周辺の施設とアクセス

今市ダムは日光宇都宮道路の今市インターチェンジから国道121号を鬼怒川温泉方面に進むことでアクセスできます。国道沿いには、東京電力が運営するピーアール施設「テプコ鬼怒川ランド」がありました。ここでは、栃木県の水力発電に関する解説が行われ、今市発電所の見学ツアーも実施されていました。特に近隣の小中学校にとっては社会科見学の場として非常に人気でした。しかし、福島第一原子力発電所の事故に伴う広報自粛の影響で、2011年にこの施設は閉鎖されました。

まとめ

今市ダムは、地域の電力供給を支える重要な役割を果たしており、効率的な電力発生のために高度な技術が使用されています。また、周辺の施設が提供していた教育的な役割も重要であり、多くの人々にとっての知識の源でもありました。

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