今村秀夫

今村秀夫

今村秀夫（いまむら ひでお、生没年不詳）は、昭和期の日本映画界で活動した撮影技師です。彼の詳細な経歴は多くが不明ですが、残されたフィルモグラフィーからその足跡を辿ることができます。

初期の活動

今村の映画界での記録として最も古いものは、1936年（昭和11年）に公開された野村浩将監督の『人妻椿 前篇』での撮影補助としてのクレジットです。その後も複数の作品で撮影補助を務め、1940年（昭和15年）には松村清四郎監督のドキュメンタリー映画『落下傘 (パラシュート)』で撮影技師としてデビューしました。この時期は、戦時体制下であり、今村は主にドキュメンタリー映画の撮影に携わっていました。

戦後の活動

第二次世界大戦終結後、今村は、かつて松竹蒲田撮影所ニュース部で監修を務めていた今村貞雄が設立したラジオ映画に参加し、技術部長に就任しました。ラジオ映画では、1950年（昭和25年）に公開された枝川弘監督の『人喰い熊』や、原千秋・小倉泰美監督の『仔熊物語・野性のめざめ』など、多くの劇映画で撮影を担当しました。これらの作品は、当時の映画界を代表する作品として知られています。

その他の活動と晩年

今村は1954年（昭和29年）に公開された佐藤武監督の『嘘』以降、その後の活動記録が途絶えています。しかし、彼が1941年（昭和16年）に手がけた田中忠男監督の『海のますらを』は、後に発掘・復元され、東京国立近代美術館フィルムセンターに所蔵されています。2009年（平成21年）には同センターで上映され、彼の功績が再評価されました。

フィルモグラフィー

今村秀夫が撮影に携わった主な作品は以下の通りです。

1930年代
『人妻椿 前篇』 (1936年) - 撮影補助
『人妻椿 後篇』 (1936年) - 撮影補助
『荒城の月』 (1937年) - 撮影補助
『女医絹代先生』 (1937年) - 撮影補助
1940年代
『征戦愛馬譜 暁に祈る』 (1940年) - タイトル撮影
『落下傘 (パラシュート)』 (1940年) - 撮影技師
『海のますらを』 (1941年) - 撮影
『勤労動員』 (1942年) - 撮影
『戦ひはこれからだ』 (1942年) - 撮影
『勤皇村記』 (1942年) - 撮影
『我等は日本少国民』 (1943年) - 撮影
1950年代
『人喰い熊』 (1950年) - 撮影
『仔熊物語・野性のめざめ』 (1950年) - 撮影
『裸女海底に死す』 (1951年) - 撮影
『娘ごゝろは恥づかしうれし』(1954年) - 撮影
『嘘』(1954年) - 撮影

関連人物

今村貞雄 - ラジオ映画の設立者で、今村秀夫の上司。
関孝二 - ラジオ映画で共に働いた撮影技師。

外部リンク

今村秀夫 - 日本映画情報システム （文化庁）
今村秀夫 - 映連データベース （日本映画製作者連盟）
今村秀夫 - 東京国立近代美術館フィルムセンター
今村秀夫 - 日本映画データベース
今村秀男 - 日本映画データベース
今村秀夫 - KINENOTE
今村秀夫 - allcinema

今村秀夫は、戦前戦後の日本映画界を支えた撮影技師の一人として、その名前は記憶されるべきでしょう。

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