松竹蒲田撮影所

松竹蒲田撮影所の歴史と影響

松竹蒲田撮影所（しょうちくかまたさつえいじょ）は、1920年6月に東京の蒲田に開業した日本の映画スタジオで、1936年1月に閉鎖されるまでの約16年間、映画制作の中心的な役割を果たしました。この撮影所は松竹キネマによって運営され、戦前の日本映画の発展に大きな影響を与えました。

設立までの背景

松竹蒲田撮影所の設立は、1919年に遡ります。この年、松竹合名会社の社長である大谷竹次郎は欧米の映画事業を視察し、その活況に触発されて映画事業への進出を決意しました。1920年2月には「松竹キネマ合名社」を設立し、映画制作を開始するとともに、同年6月には蒲田の旧中村化學研究所の跡地に撮影所を開設しました。

映画制作の革新

蒲田撮影所は、日本映画黎明期において、ハリウッドから技術者を招き入れることで、その制作技術の革新を追求しました。特に、通称「蒲田調」と呼ばれる独特のスタイルを確立し、多くの名作を生み出しました。このスタイルは、城戸四郎が所長を務めた時代に成熟し、庶民の日常生活を題材にした作品が特徴でした。

撮影所からは、小津安二郎や成瀬巳喜男といった歴史的名監督が輩出され、人気女優の栗島すみ子や田中絹代など、多くのスターもここから誕生しました。特に、国産初の本格的トーキー映画「マダムと女房」の制作は、映画界における重要な転換点となりました。この作品は、1931年に完成し、その成功は新たな映画製作技術への道を開きました。

関東大震災の影響

1933年9月1日、関東大震災が発生し、蒲田撮影所も大きな打撃を受けました。震災の影響で映画制作が困難になったため、松竹は京都の下加茂に新たな撮影所を設立することになりました。多くのスタッフや俳優がそちらに移動し、蒲田での映画制作はしばらくの間停滞しましたが、その後、再び蒲田での制作が開始されました。

最後の時代と閉鎖

1936年には新しい松竹大船撮影所が開業し、全機能はそちらへ移転される形で、松竹蒲田撮影所は閉鎖されました。閉鎖までの期間、蒲田撮影所で製作された映画は1200本を超え、数多くの名作が誕生しました。撮影所跡地には大田区民ホールアプリコが建設され、撮影所の歴史を伝える模型や関連資料が展示されています。

影響とLegacy

松竹蒲田撮影所は、日本映画産業の発展に多大な貢献をしました。その影響は現在の映画制作にも色濃く残っており、映画の技術や表現に革新をもたらしました。今日でも、松竹蒲田撮影所の遺産は多くの映画ファンや研究者によって語り継がれています。

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