今枝直方

今枝直方の生涯と業績

今枝直方（いまえだ なおかた）は、江戸時代前期から中期にかけて活躍した武士であり、加賀藩の家老としてその名を残しています。1653年に生まれた彼は、岡山藩の家老である日置忠治の五男で、その後伯父の今枝近義の養子となりました。直方の人生は、藩の運営や文化の発展に寄与した点で特筆すべきものがあります。

出自と家族背景

直方の家系は、岡山藩きっての名家に属し、彼の父は日置忠治、伯父は今枝近義でありました。彼は八右衛門、内記、民部という通称で知られ、正室は祖心尼に養女として嫁いだ中川氏でありました。直方には直温という実子があり、また恒明と直道という養子がいます。このような家族関係からも、彼の家庭が藩の重要なポジションにあったことが伺えます。

加賀藩での活躍

寛文8年、16歳の時に加賀へ移った直方は、伯父の養子となり、延宝3年には知行1万1000石を相続します。その後、延宝7年に伯父の死去によって3000石を追加で相続し、合計1万4000石となります。享保5年には家老に就任し、世子前田吉徳の守役を務めるようになります。

享保8年には、藩主前田吉徳の家督相続の際に江戸城で将軍徳川吉宗に拝謁する機会も得ています。これにより、彼の地位はさらに高まりました。享保13年に77歳で亡くなるまで、直方は加賀藩において重要な役割を果たしました。

文化事業と著作

直方はただの武士ではなく、学問にも力を入れ、多数の著作を残した人物でもあります。『新山田畔書』『重輯雑談』『温故雑録』『高卑雑談』などの作品は数百巻にも及び、これらは江戸時代の知識人がどのように思索し、文化を展開していたかを知る上で貴重な資料となっています。

特に、宝永2年には加賀藩士諸家の由来を集めた『当邦諸侍系図』を全3冊にわたって編纂しました。この著作は、彼がどれだけ藩の歴史や伝統を重視していたかを示すものです。また、諸士由緒帳として知られる『諸士由緒帳』も直方の手によるものであり、このような活動から彼の文化的貢献を伺い知ることができます。

家督相続と後継者問題

直方の家督については、嫡子の直温が早世したため、新たに岡山藩家老日置忠明の五男・恒明を養子として迎えました。しかし、恒明は不行跡があったため廃嫡され、次に姪の孫である前田修理知久の次男である直道を養子とし、彼が家督を継ぐこととなります。このような家督相続の変遷は、直方の家系や加賀藩内の力関係を反映しています。

紀行文とその影響

また、元禄16年には直方一行が能登を訪れており、その紀行文が『能北日記』として記録されています。この文章が誰によって著されたかは不明ですが、一行の者であると考えられています。その中には、直方の養子である恒明の名も見え、この紀行文が江戸時代の旅行文化における一端を担っていることも興味深い点です。

まとめ

今枝直方は、家老としての地位にありながら、学問や文化的な活動にも積極的に取り組んだ偉大な武士でした。彼の経歴と著作は、当時の加賀藩の姿を理解する上で欠かせない重要な資料です。直方の人生は、江戸時代の武士の理想像を描き出しています。

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