前田吉徳

前田 吉徳について

前田吉徳（まえだ よしのり）は、加賀藩の第5代藩主として歴史に名を刻む人物です。彼は加賀前田家の6代目にあたります。父は前田綱紀で、母は側室の預玄院です。吉徳は前田利常と徳川頼房の曾孫にあたる重要な血筋の持ち主として知られています。

生涯の概要

元禄15年（1702年）2月14日、吉徳は松平姓を受けました。命名されたのは当初「利挙」（としたか）であり、その後「利興」（としおき）と名乗ります。この年の6月9日には元服をし、徳川綱吉の偏諱を受けて「吉治」（よしはる）へと改名しました。宝永5年（1708年）には、将軍綱吉の養女である松姫を正室として迎えました。

享保8年（1723年）5月に父の綱紀が病気となったことから、吉徳は家督を継ぎます。この時、名前を「吉治」から「吉徳」に改め、6月15日には加賀守に任じられます。さらに8月18日には左近衛権少将に昇進しました。

吉徳は、父と同様に藩政の改革に取り組む姿勢を見せました。特に大槻伝蔵を重用し、様々な改革を推進しました。加賀藩は綱紀の時代から家格が上昇し、国内の安定もみられましたが、経済問題は徐々に深刻化していました。そこで吉徳は、質素倹約や公費の節減、新しい税制の導入などを行うことで藩財政の立て直しを試みました。

改革によって一時的に財政は好転しましたが、大槻伝蔵に対する嫉妬や改革に対する反発が藩内で広がり、吉徳の政策は次第に批判を受けるようになりました。延享2年（1745年）には56歳で亡くなり、嫡男の宗辰が家督を継ぎます。

家族と後世への影響

吉徳は自身の死の5か月前に生まれた治脩を含む10人の男子を遺しました。しかし長男の宗辰は早世し、以降は次男の重熙、五男の重靖、七男の重教、十男の治脩と、兄弟間で相続が続きました。これにより、加賀藩では5代にわたり家督が受け継がれることとなりますが、残りの5人は早々に亡くなりました。

また、吉徳と伝蔵の改革はその後の加賀騒動の一因とされ、歴史的な影響を与えることになりました。

官歴

吉徳の官歴は非常に多岐にわたります。1702年には藩世嗣として利興と名乗り、同年6月には元服を果たし、正四位下左近衛権少将等に叙任されました。1723年5月6日、藩主となり、6月には加賀守に遷任しました。1740年には参議に補任され、その後も重要な役職を歴任しました。

参考資料と文化的影響

吉徳に関する詳細な情報は、若林喜三郎の著作「前田綱紀」にも記載されています。また、文化的モチーフとして、多くのテレビドラマや映画においても彼の存在が取り上げられています。1988年には「暴れん坊将軍III」での登場や、2013年の映画「武士の献立」にもその名は記されています。

このように、前田吉徳は加賀藩の歴史において忘れがたい跡を残した藩主であり、その業績は現在も人々に語り継がれています。

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