今橋合戦

今橋合戦について

今橋合戦（いまはしかっせん）は、戦国時代の1506年に三河国渥美郡（現・愛知県豊橋市）の今橋城（後の吉田城）を巡る戦争です。この戦いは、駿河・遠江の戦国大名であった今川氏が、東三河の領主牧野古白を攻撃したものとして歴史に名を刻んでいます。今川軍はこの合戦で勝利し、古白は戦死しました。この成果を持って、今川氏は西三河の松平家の征討に打って出る際に、今橋城を戦略的な拠点として活用しました。

背景と原因

この時期、西三河では岩津松平氏が分派し、地域の国人層を圧迫していました。特に、今橋城主の牧野古白と田原城主の戸田憲光は、所領を巡って争いを起こしていました。戸田氏は牧野氏が松平氏と内通しているとして、今川氏に讒訴し、これが今橋合戦の発端となりました。

『藩翰譜』には「戸田弾正忠憲光、田原にあり。同国今橋の住人牧野入道古柏と互ひに地を争ふ」と記されています。これを受けて今川氏は戸田氏の側に立ち、牧野古白の今橋城を攻撃することになります。

戦の経過

永正3年（1506年）の7月、今川氏の軍勢が東三河に派遣され、8月には今橋城が包囲されました。牧野側は何度か和解の提案を試みましたが、今川氏はこれを拒否し、9月から10月にかけて本格的な攻防戦が展開されました。そして11月に入ると今橋城は陥落し、牧野古白は自決しました。

戦後の影響

今橋合戦の結果、今川軍はさらに東三河の勢力を押し立てて西三河に進攻しましたが、松平氏が強固に抵抗しました。今川軍は結局目標を達成できず、撤退することになります。この際、松平家の縁戚である戸田氏が今川軍の後方を脅かしたことも影響したと言われています。また、この戦間に松平軍が今橋城をも陥落させたとの説も存在します。その結果、牧野氏は衰退し、田原の戸田氏が地域の支配力を強化しました。

信憑性の高い諸説

今橋合戦において、同族の牛久保牧野氏が援軍を送ったとも言われていますが、敗北の後、彼らは散り散りになりました。また、松平長親が今川氏の進攻を知り、東三河に兵を送ったとする記述もあります。彼の援軍が動揺を引き起こしたという記録も残っています。

今橋合戦の位置づけ

今橋合戦は、今川氏による三河進攻の一環とされ、特に永正3年と永正5年の二度にわたる進行があったとされます。平野明夫氏はこの合戦を「永正三河の乱」と位置づけ、様々な戦役を関連付けて考察しています。

この戦闘は、戦国時代における今川氏と松平氏の対立の歴史的重要性を示しており、地域の勢力図を大きく変える契機となりました。

参考文献

• - 『豊橋市史 第1巻 - 原始・古代・中世編』豊橋市、1973年
• - 大久保忠教編『三河物語』日本戦史会、1890年
• - 平野明夫『三河松平一族』新人物往来社、2002年

今橋合戦は、戦国時代における戦争の流れを理解する上で欠かせない出来事の一つです。

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