今次ノ戦争ニ際シ召集中ノ者ノ選挙権及被選挙権等ニ関スル法律

今次の戦争に際する選挙権及び被選挙権に関する法律について

この法律は、1938年に制定されたもので、支那事変が背景にある歴史的な法律です。戦争による影響を受け、国会議員や地方議員の選挙に関して特別な取り扱いが定められました。特に、戦争のために召集された者たちに対し、選挙権や被選挙権を保障する内容を盛り込んでいます。

法律の概要

本法律では、戦時中に召集されそのために選挙人名簿に登録されなかった者に対して、名簿調整義務者が臨時にその名簿を調整することが義務付けられました。また、地方議会議員が召集により職を失った場合、召集解除後には復職を認めることが明記されています。これにより、議員の数が議員定数を超える場合には、在職中の議員数を基に定数を算出し、欠員が生じた際には徐々に元の定数まで減少させるとの取り決めもなされました。

この法律が施行されたのは1938年5月であり、この年は日本にとって重要な転機を迎えた時期でもあります。その後、1941年の大東亜戦争（太平洋戦争）の勃発を受けて、1942年には法律名が「大東亜戦争に際する召集中の者の選挙権及び被選挙権に関する法律」と改称され、本法律も戦争の進展に合わせて変わっていきました。

法律の改正と施行

1943年には、地方議員が戦争に伴い職を失った場合の手続きに関する改正が行われ、繰り上げ当選や補欠選挙は議員の数が定数の3分の2未満になった際にのみ実施すると変更されました。この改正により、政治的安定が求められる一方で、戦争の状況を反映した厳しい条件が課されることになりました。

戦後、具体的な変化が見られるのは1945年12月で、この時期に復員した軍人や帰還した邦人に対する選挙人名簿の調整がなされるよう法律が改正されました。また、連合国軍の指導のもと、戦争に関連する表現が制限されたため、1946年3月には再度法律名が変更されました。この法律によって、戦争に際して召集中であった者の権利が保障される一方で、厳格な管理体制が整備されたことがわかります。

法律の廃止

最終的には1947年1月にこの法律は廃止されますが、その背景には戦後の民主化の動きや選挙制度の整備があったと考えられます。戦時中の選挙権に関する特殊な取り決めは、一時的な措置であり、平和な時代に向けての変化が求められた結果の一つであったのです。

この法律の歴史を通じて、戦争がもたらす影響の大きさと、それに対する法制度の変容が見て取れます。戦争という極限状態において、どのように人々の権利が守られ、その後どのように社会が再構築されていったのかは、現代に生きる私たちにとっても重要な教訓となるでしょう。

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