今津良樹

今津 良樹

今津良樹（いまづ よしき）は、1985年に静岡県で生まれた日本の映像作家でありアニメーターです。特に手描きによる表現を核とした独特のスタイルで知られ、ミュージックビデオやコマーシャル映像など、多岐にわたる分野でその才能を発揮しています。

経歴

今津氏は、武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科で学び、2009年に卒業しました。卒業後、株式会社アサツー ディ・ケイ（現 ADKホールディングス）に入社し、広告業界で経験を積みます。その後、映像表現、特にアニメーション分野への探求を深めるため、2016年に東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻に進学。専門的な知識と技術を磨き、2018年に同大学院を修了しました。同年よりフリーランスの映像作家、アニメーターとしての活動を本格的に開始し、現在に至ります。

活動と作風

今津氏の創作活動の根幹にあるのは、一コマ一コマ丹念に描かれる手描きアニメーションです。コンピューターグラフィックスが広く普及する現代においても、手描きの線や色彩が持つ温かみ、有機的な動き、そして独特の質感は、作品に唯一無二の個性を与えています。その表現スタイルは、対象となる楽曲やテーマの世界観を深く解釈し、感情豊かな映像へと昇華させることに長けています。特にミュージックビデオの制作においては、多様なジャンルのアーティストと連携し、楽曲のメッセージや情緒を視覚的に強く印象づける映像を数多く生み出しています。コマーシャル映像なども手掛け、その独創的な表現力で見る者の記憶に残る作品を提供しています。

主な手掛けた作品

フリーランス転向後、今津氏は日本の主要なアーティストたちの映像制作に多数関与しています。代表的な仕事としては、以下のような作品が挙げられます。

Mr.Children：
「DONE&STADIUM TOUR2017『1999年、夏、沖縄』」のステージ映像において、アニメーションディレクターとして全体の方向性を担いました（2017年）。
楽曲「Documentary film」のミュージックビデオでは、重要なアニメーションパートを手掛けています（2020年）。
サザンオールスターズ：
楽曲「闘う戦士たちへ愛を込めて」のミュージックビデオにて、アニメーションディレクターを務め、映像の中核となるアニメーション部分を監督しました（2018年）。
amazarashi：
楽曲「さよならごっこ」のミュージックビデオにおいて、アニメーションディレクターとして制作を主導しました（2019年）。
さだまさし：
楽曲「ペンギン皆きょうだい2020」のミュージックビデオを制作（2020年）。
アルバム『孤悲』のプロモーション用トレーラー映像（2022年）や、楽曲「なつかしい未来」のミュージックビデオ（2023年）も手掛けるなど、継続的に協業しています。
星野源：
楽曲「不思議」の公式リリックビデオを担当し、歌詞の世界観をアニメーションで表現しました（2021年）。
King Gnu|King_Gnu：
楽曲「BOY」のミュージックビデオにおける印象的なアニメーションパートを担当しました（2021年）。
楽曲「雨燦々」では、楽曲のイメージを象徴するカバーアートと、ミュージックビデオのアニメーションパートを手掛けました（2022年）。
楽曲「SPECIALZ」のミュージックビデオでも、楽曲の持つエネルギーを視覚化するアニメーションパートを担当しています（2023年）。King Gnu|King_Gnuの楽曲の世界観とは特に親和性が高く、その協業は高く評価されています。
DREAMS COME TRUE：
楽曲「スピリラ」のミュージックビデオにおいて、アニメーションディレクターとして全体をディレクションしました（2022年）。
T字路s：
NHK「みんなのうた」で放送された、楽曲「遠い世界に」のアニメーション映像を担当しました（2023年4月・5月放送）。
* この他にも、harhaの楽曲「アンデルセン」のミュージックビデオ（2023年）や、めいちゃんの楽曲「おとぎ話」のミュージックビデオ（2024年）など、幅広いアーティストの映像を手掛けています。

まとめ

今津良樹氏は、手描きアニメーションのもつ温もりと表現力を最大限に引き出し、現代の映像作品、特に音楽と結びついた分野で独自の地位を確立しています。数多くの著名アーティストとの協業を通じて生み出される彼の作品は、その技術的な巧みさだけでなく、見る者の心に語りかけるような情感豊かな表現で、多くの人々を魅了しています。日本の映像・アニメーション業界において、その活動と今後の展開から目が離せない存在と言えるでしょう。

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