仏教学術振興会

一般財団法人 仏教学術振興会

一般財団法人 仏教学術振興会（Society for the Promotion of Buddhist Studies）は、仏教学の分野における学術的な研究活動を推進・支援することを主要な目的として設立された組織です。かつては文部科学省の管轄下にある財団法人として活動していましたが、公益法人制度改革を経て、現在の一般財団法人へと移行しました。

設立と目的

この財団は、1965年に駒澤大学の構内において産声を上げました。その設立の根幹には、仏教学の分野における学術的な研究活動を積極的に支援し、その振興を図るという明確な目的がありました。

沿革

設立当初は「財団法人」として運営されていましたが、公益法人制度の改革に伴い、組織形態の見直しが行われました。2012年11月には、現在の名称である一般財団法人仏教学術振興会へと改称し、新たな法人格のもとで活動を継続しています。

組織体制

財団の運営は、経験豊富な役員陣によって担われています。現在の組織構成は以下の通りです。

理事長：1名
常任理事：3名
理事：10名
評議員：7名
監事：2名
事務局長：1名

これらの役員が、財団の意思決定と事業遂行において重要な役割を果たしています。

歴代理事長

設立以来、多くの著名な仏教学者や関係者が理事長を務め、財団の活動を牽引してきました。これまでの歴代理事長としては、宮本正尊氏、桜井秀雄氏、高崎直道氏、前田專學氏、そして奈良康明氏といった方々が名を連ねています。彼らのリーダーシップのもと、財団は仏教学の研究振興に寄与してきました。

主要な研究助成事業

財団の最も重要な活動の一つは、仏教学分野における研究への資金的支援です。長年にわたり、いくつかの画期的なプロジェクトに対して大規模な助成を行ってきました。

初期からの貢献：大蔵経索引の完成

財団は、まだ電子化技術が発展途上であった1958年という早期から、『大正新脩大蔵経』全100巻という膨大な仏典の索引作成事業に対する資金援助を開始しました。これは研究者にとって極めて重要なツールであり、地道な作業が続けられた結果、1992年にこの壮大な索引はついに完成に至りました。財団の長期的な支援が、この学術的偉業の達成を支えました。

デジタル時代の支援：SAT大蔵経データベース

21世紀に入り、学術研究におけるデジタル化の波に対応するため、財団は2000年に「大蔵経データベース化支援募金会」を立ち上げました（当時の事務局長は奈良康明氏）。この募金会は、仏教研究に不可欠な聖典である大蔵経を電子化し、研究者が容易にアクセスできるSAT大蔵経データベースを構築するための資金的な支援を目的としていました。財団の援助もあって、この画期的なデータベースは2006年に完成し、仏教学研究に新たな地平を切り開きました。

現在の公募研究助成

2013年以降、財団はSAT大蔵経データベースの活用と発展に焦点を当てた研究助成を重点的に実施しています。現在、財団が広く研究者を募り、厳正な選考を経て研究費の助成を行っているのは、主に以下の二つの分野に関する研究です。

1. SAT大蔵経データベースを直接的な資料として活用する研究: 完成したSAT大蔵経データベースを主要な情報源として用いる研究に対して助成を行います。これにより、膨大な仏典からの情報収集や分析が飛躍的に効率化され、新たな発見や考察が可能になります。
2. SAT大蔵経データベースの発展的な利用に関わる研究: SAT大蔵経データベースをさらに発展させたり、その利用方法を拡張したりすることに関わる研究に助成を行います。これには、データベースの機能向上、新たな分析ツールの開発、他のデータセットとの連携などが含まれ、仏教学研究の可能性を広げることを目指しています。

これらの助成活動を通じて、財団は現代における仏教学研究の深化と発展を積極的に後押ししています。

研究助成の対象者

財団が行う研究助成の対象となるのは、仏教学に関心を持ち、修士号以上の学位を有する研究者です。特定の分野に限定せず、広く意欲ある研究者を支援することで、仏教学研究の裾野を広げることを目指しています。

一般財団法人仏教学術振興会は、設立以来、一貫して仏教学の研究基盤整備と人材育成に尽力しており、日本の仏教学界において重要な役割を果たし続けています。

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