仏生山駅

香川県高松市仏生山町に位置する、高松琴平電気鉄道琴平線の駅です。駅番号はK06が付与されています。この駅は単なる乗降場としての機能だけでなく、高松琴平電気鉄道の琴平線および長尾線で運用される車両の保守・管理を一手に担う仏生山検車区と仏生山工場を併設しており、ことでんの運行を支える基幹施設が集約されています。また、ICカード「IruCa」の購入やチャージ、定期券の発行に対応した窓口が設けられており、途中下車も可能な指定駅となっています。

歴史

琴平電鉄の建設計画において、当初は琴平街道沿いのルートが想定されていました。しかし、地元仏生山地区からの熱心な誘致活動の結果、現在の仏生山を経由するルートに変更されたという経緯があります。

かつて、仏生山駅からは塩江温泉鉄道が分岐していました。これは、その名の通り香川県中南部に位置する塩江温泉へのアクセスを目的とした路線で、ガソリンカーが運行されていました。1938年（昭和13年）に高松琴平電気鉄道の前身である琴平電鉄に吸収合併され、同社の塩江線となりますが、日中戦争の激化により不要不急路線と見なされ、わずか3年後の1941年（昭和16年）に廃止されました。現在、塩江線の線路跡地の一部には仏生山工場が建設されています。

主要な歴史的な出来事は以下の通りです。

1926年（大正15年）12月21日：琴平電鉄の駅として開業。
1929年（昭和4年）11月12日：塩江温泉鉄道が開業。
1938年（昭和13年）7月6日：塩江温泉鉄道が琴平電鉄に合併される。仏生山駅は琴平電鉄単独の駅となる。
1941年（昭和16年）5月10日：塩江線が廃止される。
1943年（昭和18年）11月1日：会社の合併により、高松琴平電気鉄道琴平線の駅となる。
2018年（平成30年）9月1日：西口が新設される。

駅構造

仏生山駅は、相対式ホーム1面と頭端式ホーム1面を組み合わせた2面3線の構造を持っています。ただし、頭端式ホームである3番線は、始発の上り列車（高松築港方面行き）のうち一部と、下り列車で車両の連結・解放を行う際の入換に使用されるのみで、原則として旅客の乗降には利用されていません。また、3番線はホームの有効長に制限があり、3両編成以上の列車は入線できませんでした（過去には3両編成の営業列車がドアカットしてここから出発した事例はあります）。

これまでは駅舎のある東側にのみ改札口が設置されていましたが、2018年 9月1日に高松市立みんなの病院が開院したことに伴い、病院へのアクセス向上を図るため、新たに西口改札が設けられました。西口の利用可能時間は平日7時から17時までとなっています。

駅構内の前後には列車の留置線が複数設けられています。高松築港方面の留置線の先端には、かつて無蓋貨車13000形1310号が長期間にわたり留置されていました。この車両は1930年製の旧国鉄トラ3131で、1978年以降工場入場記録がなく、車籍は保持しつつも実質的に休車状態が続いていました。しかし、2006年12月の工場公開イベントで構内移動したことがあり、完全に不動ではなかったようです。駅周辺の複線化事業が進展する中、この貨車は2025年1月15日に仏生山工場内で解体されました。

駅本屋は2・3番線ホームの空港通り駅寄り先端に位置します。1番線ホームと駅本屋の間を行き来するには、構内踏切を2ヶ所渡る必要があります。これは本線の上り・下り線と、仏生山工場への引込み線によるものです。

利用状況

高松琴平電気鉄道が公表している移動等円滑化取組報告書（鉄道駅）によれば、2023年度の一日平均乗降客数は3,481人でした。これは、瓦町駅以北の築港線区間を除いた琴平線単独区間において最も利用者が多い駅となっています。しかし、近年は利用者数の減少傾向が見られます。2001年には一日あたり3,887人の利用者がありましたが、高松市における自家用車の普及が進んだことや、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を経て市民の鉄道利用が以前ほどではなくなったことが、この減少の背景にあると考えられます。

駅周辺

駅周辺は仏生山地区の中心地であり、様々な施設が集まっています。かつて駅前に系列の琴電商事が運営するコトデンスーパーがありましたが、その跡地は現在、ロータリーと駐輪場として整備されています。

主な周辺施設や道路は以下の通りです。

香川県道12号三木国分寺線、香川県道166号岩崎高松線、香川県道280号高松香川線（旧塩江街道）
高松琴平電気鉄道仏生山工場
法然寺：山号が「仏生山」であり、地名および駅名の由来となったとされる寺院です。
仏生山公園
平池：人柱伝説（いわざらこざら伝説）が伝わる池です。
高松市立龍雲中学校、高松市立多肥小学校、高松市立仏生山小学校
高松市立みんなの病院
マルナカ仏生山店（スーパーマーケット）
百十四銀行仏生山支店、香川銀行仏生山支店、高松信用金庫仏生山支店、香川県信用組合仏生山支店（金融機関）
香川県農業共済組合

バス路線

高松市立みんなの病院の開院に合わせ、2018年 9月1日には駅西口にバスターミナルが整備され、仏生山駅西口バス停の供用が開始されました。ここからは以下の路線バスが運行されています。

塩江線（岩崎・塩江方面行き、瓦町・高松駅方面行き）
仏生山川島線（山田支所行き - 現在はことでんタクシーによる運行）
香川町シャトルバス（池西支所行き - マルイ観光バスによる運行）

その他

高松市の近辺では、かつて俗に「仏生山の片頬焼け（かたほやけ）」という言葉が使われることがありました。これは、高松市中心部から真南約8kmに位置する仏生山から市街地へ徒歩で通勤・通学する人々が、往路・復路ともに太陽の光を右頬に浴び続けた結果、右頬だけが焼けてしまったという話です。琴電の開通によりそのような苦労がなくなった、という意味合いで語られたものですが、これは一種の笑い話であり、実際にそうだったかどうかは定かではありません。

当駅の近辺を実家とするシンガーソングライターのmimikaさんが、この仏生山駅を題材にした楽曲「仏生山駅」を着うたフル限定でリリースしています。

隣の駅

高松琴平電気鉄道

■琴平線
太田駅（K05） - 仏生山駅（K06） - 空港通り駅（K07）

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