仔鹿物語

映画『仔鹿物語』について

『仔鹿物語』は、1991年4月20日に公開された日本の映画作品です。上映時間は116分。北海道の雄大な自然を舞台に、少年と一匹の仔鹿との交流を軸に描かれる感動的な物語で、多くの人々の心を捉えました。

あらすじ

物語の主人公は、釧路湿原を走るJR北海道標茶線の運転士を父に持つ少年・谷木健一。彼は、母親を亡くした一匹の仔鹿を見つけ、「ラッキー」と名付けて両親に内緒で飼い始めます。場所は無人駅。健一はラッキーを家族同然に大切に育てますが、月日が経つにつれ、ラッキーは成長し、農作物を荒らすなどの問題を起こすようになります。

さらに、標茶線の廃線が決まり、谷木一家は札幌への転居を余儀なくされます。健一は苦渋の決断を迫られ、ラッキーを人里離れた森へ返すことを決意します。

映画の背景

本作は、にっかつが「ロッポニカ」ブランドでの一般映画製作を終了して以来、久しぶりに一般公開した映画です。北海道の釧路市（釧路湿原）、標茶町、別海町を中心にロケが行われ、四季折々の美しい風景や、ラッキーと健一の成長が丁寧に描写されています。撮影には1年以上の歳月が費やされました。

劇中に登場する標茶線のモデルは、ロケ地の一つである標茶町に1989年まで存在した標津線です。列車の走行シーンは釧網本線で撮影され、健一がラッキーを匿った架空の駅は塘路駅で撮影されました。

キャスト

谷木健一：山田哲平
谷木政夫：三浦友和
谷木栄子：金沢碧
坂口よしみ：宮崎美子
春子先生：若村麻由美
織屋太郎：川谷拓三

その他、ガッツ石松、高品格、小坂一也、美木良介、左とん平、正司花江など、豪華キャストが出演しています。

スタッフ

監督：澤田幸弘
脚本：勝目貴久、澤田幸弘
音楽：久石譲

音楽は、巨匠・久石譲が担当。本作で、第15回日本アカデミー賞最優秀音楽賞を受賞しています。

音楽

久石譲：「仔鹿物語」サウンド・シアター・ライブラリー（1991年3月21日、NECアベニュー）

メインテーマ『Deer's Wind』は、久石譲のアルバム『I am』にも収録されています。

楽譜

久石譲：サウンドトラックベストコレクション ドレミ楽譜出版社 （2003年4月18日初版）

メインテーマ『Deer's Wind』のピアノアレンジ譜が収録されています。

漫画

佐々木倫子：動物のお医者さん第五巻 白泉社 （1991年3月25日初版）

巻末書き下ろし「Making of 動物のお医者さん」にて撮影見学レポートが掲載されています。

『仔鹿物語』が描くもの

『仔鹿物語』は、単なる動物映画ではありません。少年と仔鹿の触れ合いを通して、生命の尊さ、家族の愛情、そして自然との共生といった普遍的なテーマを描き出しています。美しい北海道の風景を背景に、心温まる物語が展開され、観る人の心に深く残る作品です。

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