仙波優

仙波 優（せんば まさる）

1974年9月22日、愛媛県に生まれた仙波優は、将来を嘱望された日本の元ラグビー選手である。主にウィング（WTB）として活躍し、そのキャリアは高校、大学、社会人と着実にステップアップしたが、1999年11月27日、わずか25歳という若さでこの世を去った。

愛媛県立松山商業高等学校に入学後、当初は野球部に所属していたが、高校1年生の秋頃にラグビーへと転向した。その才能はすぐに開花し、最終学年である3年生時には、フルバック（FB）のポジションで全国高等学校ラグビーフットボール大会（花園）に出場を果たし、全国レベルの舞台で経験を積んだ。

高校卒業後は、ラグビー強豪校として知られる関東学院大学に進学。大学選手権には計3度出場し、大学ラグビーのトップリーグで実力を磨いた。バックスプレーヤーとして、センター（CTB）やウィング（WTB）など複数のポジションをこなし、変幻自在なプレーを見せた。大学4年生時にはチームの主将を務め、グラウンド内外でリーダーシップを発揮。チームを牽引する存在として、多くの信頼を集めた。大学時代の同期には、後に日本代表としても活躍する網野正大らがいる。

大学卒業後、トヨタ自動車に入社し、同社のラグビー部（現在のトヨタ自動車ヴェルブリッツ）に加入した。社会人チームでもバックスの主力選手として活躍し、特にウィングとして、そのスピードと突破力を生かしたプレーでトライを量産した。チームの躍進に大きく貢献し、1997年度には日本選手権で準優勝を経験。さらに翌1998年度には、チームにとって12年ぶりとなる全国社会人大会優勝という栄光を掴んだ。この優勝は、トヨタ自動車ラグビー部の歴史においても特筆すべき功績であり、仙波もその中心メンバーの一人として貢献した。

国内での目覚ましい活躍が評価され、1998年秋に行われたラグビーワールドカップのアジア地区予選では、日本代表にも選出された。世界の舞台を目指す日本代表チームの一員として、更なる飛躍が期待されていた。

しかし、充実した選手生活を送っていた矢先、突然の悲劇が仙波を襲った。1999年11月27日午前1時頃、愛知県豊田市本地町6丁目の市道を乗用車で運転中に、道路左側のガードレールに接触した後、電柱に激突する単独事故に遭った。この事故により、頭蓋骨を骨折し、その場で即死。わずか25歳という若さで、その短い生涯を終えた。日本のラグビー界にとって、大きな才能を失った瞬間であった。

戒名は常光院法優信士（じょうこういんほうゆうしんじ）と諡（おくりな）された。

関連項目

愛媛県立松山商業高等学校
関東学院大学ラグビー部
トヨタ自動車ヴェルブリッツ
網野正大

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