仙石久道

仙石久道（せんごく ひさみち）とは

仙石久道は、但馬国の出石藩を治めた5代藩主であり、仙石家の8代目にあたります。彼の生涯は藩における混乱と、個人的な遊興によって彩られています。

生い立ち

久道は1774年5月12日に、前藩主である仙石久行の長男として誕生しました。しかし、彼は久行の正室との結婚前に、側室との間に生まれた庶長子であり、初めは世子としての地位を認められていませんでした。このため、彼は最初のころ土岐の姓を名乗っていました。しかし、久行と正室の間に嗣子が生まれなかったため、1785年に彼の父が亡くなると、正式に仙石姓に戻り家督を継承することとなりました。

藩政と遊興

藩主となった久道は、家老の仙石久賢に藩政を委ね、自身は遊興に耽る日々を送ります。このため、文化5年（1808年）に久賢が死去すると、藩の政務を執る者が不在となり、出石藩は混乱の一途をたどります。文化8年には江戸藩邸の焼失による再建に伴い、藩の財政状況は更なる悪化を見せ、文政2年（1819年）には借金が約6万両に達したとされています。

隠居とその後の動向

文化11年（1814年）に持病を理由に家督を長男の仙石政美に譲り、久道は隠居生活を送りますが、出石に隠居所を建てた後も藩政に干渉し続けました。この行動が家臣団との対立を生み、藩政の混乱をさらに深める結果となりました。文政7年（1824年）には、長男政美が死去したため、久道は12男の久利を第7代藩主として擁立し、自身が後見人となって権力を保持しました。

最期とその影響

仙石騒動が迫った天保5年（1834年）に久道は亡くなります。享年61でした。彼の行動や政策は、後の仙石騒動を引き起こす要因の一つとされ、その影響は藩の歴史に深く刻まれることとなりました。久道の生涯は、遊興と権力の維持、そして家族構成が交錯した、波乱に満ちたものでした。

家族関係

久道の父は仙石久行、母は玉浄院（関根氏）で、正室には酒井忠恭の娘である軽子がいます。彼の長男、仙石政美は1824年に亡くなり、その後、久道は幼い甥の久利に藩主の座を託しました。また、久道には他にも四男や六男などの子供がおり、その中には旗本に養子に出された者もいました。

仙石久道の生涯を通じて見えてくるのは、権力の座にいる者の苦悩や、家族との関係が如何に藩の運営に影響を与えるかという興味深い歴史の一断面です。

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