令和5年の大雪

令和5年の大雪：記録的な雪害と社会への影響

2022年12月中旬から2023年2月下旬にかけて、南西諸島を除く日本全土で記録的な大雪に見舞われました。特に2023年1月下旬には、中国地方と近畿地方の平野部を中心に短時間に大雪となり、各地で甚大な被害が発生しました。

気象状況

2022年12月

12月18～19日、強い寒気が日本列島に流れ込み、九州南部まで－6℃以下の寒気が達しました。北海道から九州北部にかけて大雪となり、特に東北北部と新潟県では線状降雪帯の発生により、平地でも大雪となりました。山形県大蔵村肘折では、12月としては観測史上最大となる232cmの積雪を記録しました。

12月22～26日には、再び強い寒気が西から流れ込み、北海道から九州北部にかけて広範囲で雪が降りました。九州南部でも－6℃以下の寒気が観測され、四国地方では記録的な大雪となりました。この期間、多くの地域で車の立ち往生や停電などの被害が発生しました。山形市では12時間降雪量が39cmに達し、統計開始以降最大の記録を更新しました。

2023年1月

1月1～12日、北日本を中心に度々寒気が南下し、北海道では大雪となりました。札幌や小樽では12時間降雪量が統計開始以来最大の記録を更新しました。

1月24～31日には、10年に一度と言われるほどの強い寒波が襲来しました。日本海側は広範囲で大雪となり、太平洋側にも雪雲が流れ込みました。岡山県真庭市蒜山では、24時間降雪量が統計開始以来最大の93cmに達しました。太平洋側でも積雪を観測し、JR京都線や新名神高速道路では車両が立ち往生する事態が発生しました。また、東京都心などでも初雪を観測されました。北日本の日本海側と北陸地方ではその後も大雪が続き、新潟県魚沼市では積雪が3メートルを超えるなど、各地で深刻な状況となりました。北海道陸別町では、今シーズン4回目のマイナス30℃以下の極寒日を記録しました。

2023年2月

2月2日、北海道を中心に猛吹雪となり、各地で強い風が観測されました。

2月10日、関東甲信地方では雪が降り積もり、山梨県甲府市では20cm、長野県松本市では28cmの積雪を観測しました。東京都心でも雪が観測され、今シーズン最低の気温を記録しました。東北南部でも大雪となり、福島市では25cm、仙台市では21cmの積雪を観測しました。

2月20～21日、再び強い寒気が南下し、東北北部と北海道の日本海側を中心に大雪となりました。青森県八甲田山系の酸ケ湯では、今シーズン初めて積雪が4メートルに達しました。

原因

この大雪の原因としては、サハ共和国付近のブロッキング高気圧やラニーニャ現象の影響が考えられています。特に東北日本海側、北陸、山陰地方では、偏西風の蛇行により、上空に非常に強い寒気が流れ込みやすくなったことが大雪と低温の要因と考えられています。また、北極域の極渦が分裂し、強い寒気が日本に流入したことも影響を与えたと考えられています。

被害・影響

死傷者・建物被害

1月28日までに1人の死者が出ています。西日本や東日本の太平洋側では、家屋の崩壊や倒木などの被害が多数発生しました。

交通障害

1月24日の大雪では、JR西日本のJR京都線や琵琶湖線でポイント故障が多発し、15本の列車が立ち往生しました。多くの乗客が車内で一夜を過ごしたほか、体調不良を訴えた乗客が救急搬送される事態となりました。JR西日本の対応の遅れなども問題視され、国土交通省は各鉄道会社に対し、大雪時の運行計画や旅客対応の改善を求める通達を出しました。

この大雪は、日本社会に大きな影響を与えました。今後の災害対策において、気象予測の精度向上、交通機関の対応強化、防災意識の啓発などが重要になります。

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