仮想コンソール

仮想コンソールとは、コンピュータのユーザーインターフェースにおける、キーボードとディスプレイの概念的な組み合わせを指します。これは、UnixWare、Linux、BSDなどの一部のオペレーティングシステム（OS）で提供される機能であり、システムコンソールを複数の独立した仮想コンソール間で切り替えることを可能にします。

仮想コンソールの歴史は古く、1980年代のXenixやコンカレントCP/M|コンカレントCP_Mといったシステムにも存在していました。これらのシステムでは、複数のユーザーが同じコンピュータを共有し、それぞれのセッションを仮想コンソールで切り替えることが可能でした。

Linuxにおける仮想コンソール

Linux環境では、通常、最初の6つの仮想コンソール（/dev/tty1から/dev/tty6）が、Unixシェルへのログインプロンプトが表示されるテキストターミナルとして利用されます。一方、X Window Systemは通常、7番目以降の仮想コンソール（/dev/tty7から/dev/tty63）で起動します。これらの仮想コンソールは、Altキーとファンクションキー（F1、F2など）の組み合わせによって切り替えることができます。また、Altキーと左右のカーソルキーを使って、前の仮想コンソールや次の仮想コンソールに移動することも可能です。X Window Systemから仮想コンソールに切り替える場合は、CtrlキーとAltキーとファンクションキーを同時に押すことで切り替えられます。これらのキーの組み合わせは、設定によって変更できます。

仮想コンソールの役割の変化

現在では、ほとんどのアプリケーションがX Window Systemなどのグラフィカルフレームワーク上で動作し、それぞれのプログラムが独立したウィンドウを持っています。テキストモードのアプリケーションは、端末エミュレータのウィンドウ内で動作することが一般的です。そのため、仮想コンソールの必要性は以前に比べて減少しています。

しかし、仮想コンソールは、複数のX Window Systemのログインセッションを同時に並行して実行する場合に役立ちます。例えば、ユーザーの簡易切り替え（fast user switching）や、異なるXサーバーで動作するXアプリケーションのデバッグなどが挙げられます。通常、これらの各Xセッションは異なる仮想コンソール上で実行されます。

仮想コンソールの活用

仮想コンソールをより便利に利用するためのツールとして、GNU Screenがあります。GNU Screenは、一つのテキストログインの中で複数のテキストモードアプリケーションを実行し、それらを切り替えられるようにするプログラムです。これにより、仮想コンソールを効果的に活用することができます。

仮想コンソールは、初期のコンピュータ環境では不可欠な機能でしたが、現在ではGUI環境の発達により、その役割は変化しています。しかし、複数のセッションを同時並行で実行するなどの特定の状況においては、仮想コンソールは依然として重要なツールとして活用されています。

関連事項

• - 擬似端末: /dev/ptmx, /dev/ptsなどの擬似端末も、仮想コンソールと同様にテキストベースの入出力に利用されます。仮想コンソールが物理的なコンソールをエミュレートするのに対し、擬似端末はソフトウェアによって作成された仮想的な端末です。
• - tty: ttyは、端末のデバイスファイルを指す一般的な名称です。仮想コンソールは、ttyデバイスとしてシステムに認識されます。

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