仮想デバイスドライバ

仮想デバイスドライバ（Virtual Device Driver, VxD）は、Windows 3.xからWindows 9x系までのオペレーティングシステムで利用されていたデバイスドライバの形式です。この名称は、多くの仮想デバイスドライバが「VデバイスD」という形式（例えば、マウスドライバであれば「VMOUSED」）で命名されていたことに由来しています。また、32ビットデバイスドライバと呼ばれることもあります。

MS-DOS環境では、単一のアプリケーションのみが実行されていたため、ハードウェアデバイスをアプリケーションが独占的に使用することが可能でした。しかし、Windowsでは複数のアプリケーションを同時に実行できるようになったため、ハードウェアを複数のアプリケーションで共有するための仕組みが必要となりました。そこで導入されたのが仮想デバイスドライバです。これは、実際のハードウェアデバイスの代わりに、仮想的なデバイスを作成し、アプリケーションに提供する役割を担います。アプリケーションがデバイスとして認識し、操作しているものは、実際には仮想化されたデバイスであり、仮想デバイスドライバがこれらの要求を調停し、実際のハードウェアを操作します。

この「仮想的なデバイスを提供する」という点が、このドライバが「仮想」デバイスドライバと呼ばれる理由です。Windows 9x系では、OSとすべてのWin16およびWin32アプリケーションを実行する「システム仮想マシン」と、DOSプロンプトごとに作成される「仮想DOSマシン」という2種類の仮想マシンが存在します。仮想デバイスドライバは、これらの両方の仮想マシンに対して仮想デバイスを提供します。

重要な点として、Windows NT系（Windows 2000、Windows XPなど）ではVxDはサポートされていません。これらのオペレーティングシステムでは、Windows Driver Model (WDM)が採用されています。さらに、Windows Vista以降では、Windows Driver Foundation (WDF)という新しいドライバモデルも導入されています。


仮想デバイスドライバの導入は、Windows環境でのマルチタスク処理を実現する上で重要な役割を果たしました。複数のアプリケーションが同時にハードウェアを安全に共有し、円滑に動作することを可能にしたのです。VxDは、その後のWindowsのデバイスドライバモデルの発展の基礎を築いたと言えるでしょう。

外部リンクとして、以下の情報が提供されています。

* Morry's Un'Gramming Page - ウェイバックマシン（2004年9月3日アーカイブ分）

このページでは、VxDに関するより詳しい技術的な情報や背景知識が得られる可能性があります。興味のある方は、参照ください。

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