仮称二号電波探信儀二型

仮称二号電波探信儀二型

仮称二号電波探信儀二型（かしょう2ごうでんぱたんしんぎ2がた）は、日本海軍が開発した艦艇用の対水上警戒レーダーです。このレーダーは主に「二号二型電探」や「22号電探」として知られており、1944年7月以降、多くの主要艦艇に装備されました。使用される波長は0.1mで、尖頭出力は2kW、測定方法は最大感度法、重量は水上艦用が1,320kg、潜水艦用が2,140kgという仕様です。具体的には、短波長のマイクロ波を用いる必要がありましたが、実用化後も初期の受信機の動作安定に苦労しました。特に、初期の試作時にはその不安定な動作が問題視されました。

開発の経緯

1942年5月、戦艦「日向」に搭載され、同時に「伊勢」に搭載されていた二号一型との試験が行われました。この試験の結果は、「伊勢」を35kmで探知できたことが確認されましたが、航空機の探知ができない点が課題でした。動作が不安定だったため、撤去の予定もありましたが、出撃の際に霧中でも友軍の艦船を探知できたことで、その有用性が認識されました。その後、方針が変更され、小型艦艇用としての開発が進むことになりました。

1943年7月には大和型戦艦「大和」にも搭載試験が行われ、戦艦では最大35km、駆逐艦では16km、潜水艦の潜望鏡は5kmの探知が記録されました。さらに、15.5cm副砲弾の射撃では、1万5000m先の弾着を確認できました。

改良型と量産

改良型としては、二号二型改二があり、小型艦艇に対応できるように小型化されました。その際、アンテナは開口部直径80cmの電磁ラッパ型に変更され、送受信機が分離してアンテナが独立して回転する方式が採用されました。月産4～5台のペースで生産されましたが、動作は依然として不安定で、評価は芳しくありませんでした。

その後、二号二型改四などの型が開発され、様々な改良が成されました。1944年1月に受信機がオートダイン式に改良され、動作が安定したことで緊急生産が命じられ、その成果は他の艦艇にも広まりました。最終的に、約1,000台が生産され、多くの艦艇に搭載されました。

実戦での評価

キスカ島撤退作戦やマリアナ沖海戦では敵動向の把握に役立つなど、その実効性が認められました。特に、サマール沖海戦時には、戦艦「大和」による電測射撃が高く評価され、精度良好との報告がありました。これにより、電探射撃が実戦で適用できる手段として認識されるようになりました。

戦後の活躍

終戦後も、捕鯨船団での航海に二号電探が使用されました。GHQから接収されていたこのレーダーは、南氷洋での捕鯨に活用され、多くの艦艇に搭載され続けました。様々な懸念があったものの、実際には効果が確認され、対応するための技術開発が進んでいきました。1950年に使用されるまで、その影響力は続きました。

参考文献

1. 電波監理委員会『日本無線史 第10巻 海軍無線史』電波監理委員会、1951年
2. 板橋守邦『南氷洋捕鯨史』中央公論社、1987年
3. 佐藤清夫『駆逐艦「野分」物語 若き航海長の太平洋海戦記』光人社、1997年
4. 中川靖造『海軍技術研究史 エレクトロニクス王国の先駆者たち』講談社、1990年
5. 松本喜太郎他『戦艦「大和」開発物語 最強戦艦誕生に秘められたプロセス』光人社NF文庫、2009年

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