仮議会 (1660年)

仮議会：王政復古への道筋と、その後の波紋

1660年、イングランドは激動の時代を終えようとしていました。清教徒革命、内戦、そして共和政と、混沌とした状況が続いていたのです。そんな中、スコットランド駐留軍司令官ジョージ・マンクの巧みな政治工作によって、王政復古への動きが加速しました。

マンクは、混乱に乗じて主導権を握りました。まず、解散されたランプ議会を復活させ、その後、追放されていた議員の復帰を認め長期議会を再開させました。この動きは、共和政の終焉を意味していました。長期議会は自ら解散し、新たな議会の召集を決定。革命勢力は排除され、王政復古への期待が高まりました。

一方、オランダに亡命していたチャールズ2世とその側近たちは、王位復帰に向けて準備を進めていました。側近のエドワード・ハイドは、マンクとの交渉を重ね、王位復帰への協力を得ました。そして、国民の和解を目指す『ブレダ宣言』を発布。これは、過去の反逆行為への追及を大赦するなど、寛大な内容でした。

1660年4月25日、総選挙で王党派が多数を占める仮議会が開会。ブレダ宣言を受諾し、チャールズ2世の即位を宣言しました。貴族院も復活し、チャールズ2世は帰国、王政復古が実現したのです。

仮議会は、王政復古後の礎を築く上で重要な役割を果たしました。航海条例の制定、反王党派への恩赦（ただし国王暗殺に関わった者を除く）、軍隊の給与支払い、そして土地所有権問題の解決など、多くの課題に取り組みました。宗教の自由については、イングランド国教会重視の議会側の反対で実現しませんでしたが、それでもチャールズ2世とハイドの理想は、多く実現されました。

さらに、仮議会は制度改革にも着手しました。国王の封建的な権限を制限し、近代的な財政制度を導入。国王の収入を消費税と関税で賄うシステムを確立し、封建制度からの脱却を進めました。マンクやハイドら、王政復古に貢献した人物には、爵位が授与されました。

こうした功績を残した仮議会は、12月29日に解散。翌年、チャールズ2世の戴冠式が行われ、新たな議会が召集されました。しかし、宗教寛容を巡る問題や、議会と国王、そしてクラレンドン伯（ハイド）の間の対立は、新たな紛争の火種となるのです。仮議会は、王政復古という大きな転換点をもたらしましたが、その後のイングランドの政治は、新たな課題に直面することになりました。仮議会の功績は、王政復古という大きな転換点をもたらしただけでなく、近代国家への移行という、より大きな歴史的流れの一部を担っていたといえるでしょう。しかし、その後の宗教問題や議会と国王の対立は、その後のイギリスの歴史に大きな影響を与えることになります。この仮議会の活動は、イングランドの近代化への重要な一歩であり、同時に、将来の政治的葛藤の伏線ともなったと言えるでしょう。

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