仮谷忠男

仮谷 忠男（かりや ただお）

仮谷忠男は、日本の政治において重要な役割を果たした政治家であり、自由民主党に所属した衆議院議員です。彼は1913年5月30日に高知県で生まれ、1976年1月15日に急死するまで、さまざまな政治的職務を務めました。特に三木内閣では建設大臣として名を残しています。

来歴と政治経歴

仮谷の出身地は高知県幡多郡上灘村以布利で、彼は高等小学校を卒業後、地方行政に身を投じました。清水町助役、以布利漁協組合長を経て、県漁連の副会長に就任します。1947年には高知県議会議員に選出され、その後4期を務め、議長にも就任しました。政治家としてのキャリアを積み重ねた彼は、1960年に行われた第29回衆議院議員総選挙において、高知県全県区から立候補し、見事当選を果たしました。以後、彼は衆議院議員として5回当選し、自由民主党内では佐藤派から田中派に所属していました。

仮谷は農林政務次官、建設政務次官、そして衆議院の農林水産委員長などの要職を履歴し、政治的な影響力を高めていきました。特に1974年には田中改造内閣で科学技術庁長官に要請されたものの、これを辞退しました。しかし、1976年には三木武夫内閣において建設大臣に就任し、重要な役割を担うことになりました。

建設大臣としての業績

建設大臣としての仮谷は、当時の日本社会が直面していた課題に向き合いました。特に石油危機により、本州四国連絡橋の建設が凍結された際には、その凍結を解除する重要な決定を下しました。この事業は後の地域の発展に寄与するものとして、多くの期待を集めました。

残念ながら、彼の在任中の1976年1月15日、彼は大三島橋の起工式に出席した際に喘息が悪化し、そのまま急逝してしまいました。後の後任には同じ田中派の竹下登が就任しました。

舌禍事件

建設大臣在任中の1975年10月12日、仮谷は自民党の青森県連が主催したパーティーで発言を行い、ここで「私はここでは国会答弁のようないい加減なことは言わない」と発言し、これが舌禍事件と呼ばれる騒動を引き起こしました。この発言は野党から強い反発を招き、国会の議事が混乱する原因となりました。

数日後の10月17日、仮谷は国会においてこの発言について遺憾の意を表明し、その結果、国会は通常の運営を再開しました。この事件以降、仮谷は一方的に非難されることが多いですが、同時に野党側には彼の発言を先見の明を持って見抜けなかったとの批判も存在しています。政治家としての彼の影響力と、その軽率な発言が引き起こした騒動の両方が、現在でも記憶に残ることとなりました。

仮谷忠男の生涯は、彼が政治家として直面した課題とその対応を象徴するものであり、日本の政治史の中に印象深い足跡を残しています。

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