第29回衆議院議員総選挙

第29回衆議院議員総選挙の概要

1960年（昭和35年）11月20日に実施された第29回衆議院議員総選挙は、日本の政治において重要な意味を持つ出来事でした。選挙は、安保解散によって招かれ、内閣は当時の池田勇人の第1次内閣から第2次内閣へと移行しました。この選挙の実施に際しては、選挙公示が10月30日に行われ、投票率は73.51%に達しましたが、前回の選挙よりも3.48ポイント下がりました。

選挙データ

この選挙の改選数は467議席、選挙制度は中選挙区制が採用され、秘匿投票の単記投票方式で行われました。選挙権は満20歳以上の日本国民に与えられ、被選挙権は満25歳以上の同国民に适用されました。当時の有権者数は53,312,993人であり、男性が25,962,162人、女性が28,350,831人に達しました。なお、同日に行われた他の選挙には国民投票や最高裁判所国民審査が含まれています。

選挙結果と影響

この年の総選挙は、日米安保条約改定をめぐる安保闘争が盛んであった背景の中で行われましたが、その影響は限定的でした。自民党は経済成長に焦点を当て、「所得倍増計画」を核に選挙戦を展開。しかし社会党と民社党の分裂から自民党が議席を増やし、最終的には296議席を獲得しました。同党の議席率は64.2%という高い数字を記録し、これは自民党の歴史の中でも最高の議席率となりました。

一方で、社会党は186人の候補を立てたものの、民社党の離党者を取り戻すことができず、前回比で議席数を減らしました。民社党も過去の結果に比べて23議席減の苦境に陥りました。共産党は小規模かつ少数派ながらも、議席数を2増やしており、今後の選挙での票数増加が期待される結果となりました。

初当選者と議席の動向

この選挙では、初当選者が多数輩出され、特に後に内閣総理大臣となる宇野宗佑や海部俊樹が初めての当選を果たしたほか、社会党委員長へと成長する田邊誠も当選しました。一方で、複数の議員が落選し、特に自由民主党から52名、社会党から16名が新たに議席を失いました。

選挙後の展開

選挙後、国会は第37回国会を迎え、内閣総理大臣には池田勇人が選出されました。選挙の影響を受けて政治の風潮が変化し、経済成長を重視する姿勢が国政において顕著に現れました。この時期、日本は高度経済成長という新たな時代を迎え、政治と経済の関係がより密接に結びついていくことになります。

今後の日本の政治にとって、この選挙は重要な転換点であり、民社両党は新たな方向性を模索しなければならない状況に陥りました。総選挙の結果は、政治的な力関係や政策に強い影響を与えており、特に自民党が導入した経済重視の政策は、以後の日本社会に大きな影響を及ぼすこととなるでしょう。

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