伊勢ヶ濱部屋 (1929-2007)

伊勢ヶ濱部屋の歴史と変遷

伊勢ヶ濱部屋は、かつて存在した日本相撲協会に属する相撲部屋であり、そのルーツは1921年にさかのぼります。元々熊ヶ谷部屋の清瀬川として活動していた力士が、家元の後継者として獲得されたことを契機に、内弟子たちを引き連れて新たな部屋を立ち上げることになります。この清瀬川は、後に5代伊勢ヶ濱と名乗り、彼の手によって部屋は次第に大きく成長していきました。

創設と成長

1929年の夏、5代は現役を引退し年寄となり、伊勢ヶ濱部屋を創設しました。彼は横綱・照國や関脇・備州山などの優秀な力士を育て上げ、また周囲との連携を強化しながら一門全体を形成しました。組織が拡大する中で、彼は熊ヶ谷部屋や朝日山部屋などからも弟子を迎え入れ、部屋の地位を確立しました。

1953年1月に横綱・照國が引退すると、5代は弟子たちを10代荒磯に譲り部屋の舵取りを引退し、部屋名を荒磯部屋に改称。1961年には激しい変革の中、10代荒磯が伊勢ヶ濱の名跡を引き継ぎ6代伊勢ヶ濱となり、再び部屋名が戻ったことで称号を歴史に刻みました。

活躍と特色

6代伊勢ヶ濱の元で、部屋はさらなる発展を遂げました。彼は大関・清國や関脇・開隆山を育て上げ、特に稽古環境の整備に力を注ぎ、二面の土俵を持つことを実現させました。この時代は、立浪一門との連携も、相撲界における影響力を一層高める要因となりました。

移りゆく時代

1977年、6代が逝去すると、12代楯山が7代伊勢ヶ濱を襲名し部屋を引き継ぎます。7代は、先代の弟子を継承しながら、新たな力士も育成し、部屋を支えてきました。しかし、2006年には7代が定年を迎え、続けて部屋は閉鎖される運命を辿ります。8代が襲名したものの、彼もまた定年を迎えたため、伊勢ヶ濱部屋の活動はこの時点で終焉を迎えました。

現在の状況

旧・伊勢ヶ濱部屋は、両国国技館付近に位置していましたが、部屋の最後の時期には台東区へ移転していました。現在、跡地には「ちゃんこ照國」が存在しています。これにより、多くの名力士を輩出してきた伊勢ヶ濱部屋の歴史は、人々の記憶の中だけでなく形としても残り続けているのです。部屋が生み出した影響力の跡は、今日の相撲界にも息づいています。

様々な困難を乗り越え、成長してきた伊勢ヶ濱部屋。その背後には無数の力士たちの努力と情熱があったことを忘れてはなりません。

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