伊勢甚

伊勢甚グループ：呉服商から多角化企業へ

1724年、水戸の地で「伊勢屋」として創業した伊勢甚は、長い歴史を持つ老舗企業です。当初は呉服商として、水戸徳川家の御用商人となるなど、地域経済において重要な役割を担っていました。その後、戦災による焼失を乗り越え、1957年には百貨店事業に本格参入。伊勢甚百貨店（後の水戸店）は、増床を重ね、一大商業施設へと発展しました。

1960年代には、スーパーマーケットチェーン「ジンマート」を展開し、事業を多角化。さらに、他社の百貨店を買収するなど積極的な経営を展開しました。この頃の伊勢甚は、茨城県を代表する有力企業として成長を続けていました。

しかし、1977年、伊勢甚は百貨店事業とスーパーマーケット事業をジャスコ（現・イオン）に譲渡する大きな転換期を迎えます。これは、当時としては大規模な企業合併であり、小売業界に大きな衝撃を与えました。譲渡後も「伊勢甚」の屋号は使用され続けましたが、2005年に最後の百貨店が閉店したことで、長きにわたる小売事業の歴史に幕を閉じました。

小売事業からの撤退後、伊勢甚グループは事業転換を図り、現在ではホテル、結婚式場、不動産賃貸、ミュージアムショップ、飲食店などを中心とした多角的な事業展開を行っています。商業施設の運営も手掛けていますが、テナントとして他社への貸与が中心です。

伊勢甚グループの歩み：主要な出来事

1724年（享保9年）: 呉服商「伊勢屋」創業。水戸徳川家の御用商人となる。
1949年（昭和24年）: 株式会社伊勢甚として設立。
1957年（昭和32年）: 伊勢甚百貨店（後の水戸店）開店。本格的な百貨店事業開始。
1963年（昭和38年）: スーパーマーケットチェーン「ジンマート」1号店開店。
1967年（昭和42年）: 日立市の百貨店を買収し、日立伊勢甚として傘下に収める。
1977年（昭和52年）: ジャスコ（現・イオン）への事業譲渡。百貨店、スーパーマーケット事業をイオングループが継承。
1994年（平成6年）: センチュリープラザNAKA開業。
2005年（平成17年）: 最後の「伊勢甚」ブランドの百貨店が閉店。小売事業から撤退。
2009年（平成21年）: センチュリープラザ石岡閉店。
2011年（平成23年）: 東日本大震災によりセンチュリープラザNAKAが被災し閉店。

グループ内の主な事業所

現在、伊勢甚グループは、水戸プラザホテル、伊勢甚スクエア（友部、常陸太田）、ニュー鹿島ショッピングタウン チェリオ、やすらぎの湯河和田館（スーパー銭湯）、アジュールひたちなかウエディングヴィラなどを運営しています。その他にも10以上の施設を展開しており、地域社会に貢献しています。

まとめ

伊勢甚グループは、時代の変化に合わせて事業内容を柔軟に変更し、常に新たな挑戦を続けてきました。呉服商から始まり、百貨店、スーパーマーケットを経て、現在は多角的な事業展開を行うまでに至っています。その歴史は、日本の商業史における重要な一端を担っており、今後の展開にも注目が集まります。 長年にわたる事業活動の中で培ってきたノウハウと、地域社会との深い繋がりを活かし、さらなる発展が期待されます。

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