伊号第三十二潜水艦

伊号第三十二潜水艦：太平洋を駆け抜けた潜水艦の生涯

伊号第三十二潜水艦（伊32）は、大日本帝国海軍が建造した伊十五型[[潜水艦]]の13番艦です。当初は伊号第三十九[[潜水艦]]として計画されましたが、1941年11月1日に伊号第三十二潜水艦と改名されました。

建造と竣工

1939年の第四次海軍補充計画に基づき建造が承認され、1940年1月20日に佐世保海軍工廠で起工されました。同年12月17日に進水し、1942年4月26日に竣工、呉鎮守府籍となりました。竣工同日、伊31と共に第六艦隊第1潜水戦隊第15潜水隊に編入されました。

太平洋での作戦行動

1942年6月16日、伊32は呉を出港しトラックへ移動しました。トラックからはオーストラリア周辺海域に進出し哨戒任務に就きました。7月にはポートビラやニューカレドニアの偵察を実施しました。8月4日には、豪兵員輸送船カトゥーンバを発見し砲撃を加えましたが、追跡は失敗に終わりました。その後、オーストラリア南岸を経由してペナンへ到着し、補給を行いました。

同年9月にはトラックへ帰還しましたが、ヌーメアの航空偵察中に燃料漏れを起こし、修理のため呉へ回航されました。12月に修理を終えた後、再びトラックへ移動し、ラバウルへの輸送任務に従事しました。輸送任務では、食料や弾薬をブナへ輸送し、兵員の輸送も行いました。

1943年に入ると、伊32はガダルカナル島南方沖での哨戒任務やサモア・フィジー諸島方面への進出を行いました。同年7月には呉で運貨筒を曳航し、ラバウルやラエへ物資を輸送しました。10月にはヌーメア近海で航空偵察を試みましたが、射出機の故障により中止となりました。

10月7日には、オーストラリア近海で船団を発見し魚雷攻撃を行いましたが、命中しませんでした。その後、米軍のタンカー攻撃に参加しましたが、成果は上がりませんでした。

最後の出撃と沈没

1944年2月28日、伊32は呉を出港しトラックへ移動。輸送任務のためウォッゼへ向かいました。3月17日に米艦載機を発見し、3月23日には米機動部隊を発見したとの報告を最後に消息不明となりました。

アメリカ側の記録によると、伊32の報告を傍受した米軍は、対潜部隊を派遣しました。3月24日、米駆逐艦ハルゼー・パウエル、ハル、護衛駆逐艦マンラブ、駆潜艇PC-1135が伊32を発見し攻撃を開始。マンラブのレーダーが伊32を探知し、急速潜航する伊32に対し、爆雷やヘッジホッグによる攻撃を行いました。その結果、伊32は撃沈されました。

艦長の井元正之少佐以下、乗員106名全員が戦死。沈没地点はウォッゼ南方50浬地点付近、北緯08度30分 東経170度10分。伊32は同日、マーシャル諸島方面で亡失と認定され、6月10日に除籍されました。

艦歴

1942年（昭和17年）4月26日：竣工
1942年6月16日：呉出港
1942年6月30日：トラック出港、オーストラリア方面へ行動
1942年8月28日：オーストラリア南岸経由でペナン着
1942年9月13日：トラック着
1942年9月30日：ヌーメアへ向け出港
1942年10月3日：燃料漏れのため反転
1942年10月6日：トラック着、7日出港
1942年10月13日：呉入港
1942年12月4日：呉出港。ブナ輸送、南太平洋方面へ行動
1943年（昭和18年）6月10日：呉入港
1943年8月16日：呉出港、運貨筒を曳航してラエに物資輸送
1943年12月20日：呉に入港、修理
1944年2月25日：呉出港
1944年3月13日：トラック出港、マーシャル諸島方面へ行動
1944年3月23日：米機動部隊発見を報じる
1944年3月24日：マーシャル諸島ウォッゼ南方沖で米軍の攻撃により戦没、同日亡失認定
1944年6月10日：除籍

歴代艦長

艤装員長
（兼）吉村巌 中佐：1941年12月15日 - 1942年1月31日
清水鶴造 少佐：1942年1月31日 -
池沢政幸 中佐：1942年3月10日 -
艦長
池沢政幸 中佐：1942年4月26日 -
堀武雄 大佐：1942年11月1日 -
井元正之 少佐：1944年1月10日 - 1944年3月24日戦死

伊号第三十二潜水艦は、太平洋戦争の激戦の中、数々の作戦に参加し、その生涯を終えました。その戦歴は、潜水艦隊の一翼を担った艦艇として、後世に語り継がれるべきものです。

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