伊号第三百六十九潜水艦

伊号第三六九潜水艦：太平洋戦争下の激動を潜航した潜水艦

伊号第三六九潜水艦は、大日本帝国海軍が建造した潜水艦です。伊三百六十一型潜水艦の9番艦として、1943年9月1日に横須賀海軍工廠で起工、1944年3月9日に進水、同年10月9日に竣工しました。竣工後は佐世保鎮守府に所属し、第十一潜水戦隊、その後第七潜水戦隊に配属され、太平洋戦争の激戦を潜航しながら戦い抜きました。

数々の輸送任務と困難

伊号第三六九潜水艦の主な任務は、物資輸送でした。1945年1月には南鳥島への輸送任務、3月には父島への輸送任務に就きました。しかし、父島への輸送任務では、艦長の発病により途中で引き返し、作戦は中止となりました。帰投時には暗礁に乗り上げ、艦体に損傷を負うというアクシデントに見舞われています。

その後、4月にはトラック島とメレヨン島への重要な輸送任務に就きました。トラック島では糧食、兵器弾薬、その他の物資、そして重油を揚陸。メレヨン島ではさらに大量の糧食と物資を運び、さらに第二次丹作戦に参加し、不時着した二式飛行艇の乗員51名（資料によっては60名）を救助するという人道的な任務も遂行しました。しかし、メレヨン島からの帰路では、低圧排水ポンプや潜舵出入用電動機の故障が発生し、乗員2名が死亡するという悲しい出来事も経験しています。

終戦とその後

伊号第三六九潜水艦は、5月24日に横須賀に帰投後、航空揮発油搭載工事が開始されましたが、工事中に終戦を迎えます。終戦前には、横須賀空襲にも遭いましたが、幸いにも被害はありませんでした。終戦後、9月15日に除籍され、アメリカ軍に接収されました。

艦長

伊号第三六九潜水艦の艦長は、竣工から終戦まで複数の人物が務めました。資料によると、松島茂雄大尉と中島万里大尉が艦長を務めたことが確認されています。

様々な資料からの情報

伊号第三六九潜水艦に関する情報は、いくつかの資料から得られています。『戦史叢書』や『輸送潜水艦伊号第361型列伝』などの書籍には、艦の活動や任務、事故などが詳細に記されています。これらの資料を総合的に分析することで、伊号第三六九潜水艦の全貌をより深く理解することが可能になります。しかし、資料によって記述に差異が見られる部分もあり、その点については注意深く検証する必要があります。

結論

伊号第三六九潜水艦は、太平洋戦争下の過酷な状況下で、数々の輸送任務を遂行した潜水艦でした。機械故障や事故、そして戦争の悲劇に遭遇しながらも、任務を全うしようと尽力した乗組員の勇敢さと、潜水艦という特殊な環境での困難な作戦遂行の様子が伺えます。その艦歴は、太平洋戦争の歴史を語る上で重要な一端を担っています。

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