伊号第五十六潜水艦

伊号第五十六潜水艦：太平洋戦争を駆け抜けた潜水艦の生涯

伊号第五十六潜水艦（伊56）は、日本海軍が建造した潜水艦で、伊五十四型[[潜水艦]]（乙型改2潜水艦）の2番艦にあたります。ここでは、伊56の艦歴、兵装、そしてその生涯について詳しく解説します。

建造と竣工

伊56は、1941年（昭和16年）の昭和17年度計画（マル追計画）に基づき、横須賀海軍工廠で建造されました。1942年9月29日に起工し、1943年6月30日に進水、そして1944年6月8日に竣工しました。竣工後は呉鎮守府籍となり、第六艦隊第11潜水戦隊に編入され、訓練に従事しました。

戦歴

1944年9月20日、伊56は第15潜水隊に編入され、戦線へ投入されることとなります。10月15日、呉を出港しフィリピン東方へ進出、10月24日には米輸送船団に対し魚雷攻撃を行い、米戦車揚陸艇「LST-695」を撃破する戦果を挙げます。

米機動部隊への攻撃

10月25日22時34分、伊56はレイテ島南東150浬付近で、空母4隻を中心とした米機動部隊を発見し、魚雷5本を発射しました。50秒後には3つの爆発音を聴取したと記録されています。この攻撃は、当初、護衛空母「サンティー」への攻撃とされていましたが、その後の研究により、僚艦である「ペトロフ・ベイ」への攻撃である可能性が指摘されています。いずれにせよ、この攻撃によって魚雷の残数が3本となったため、伊56は帰投命令を受けることになります。

護衛駆逐艦との遭遇

10月26日、帰投中に浮上していた伊56は、前日に攻撃した機動部隊を護衛する護衛駆逐艦「クールボー」の爆雷攻撃を受けます。伊56は深度140mへ緊急潜航し、退避しました。その後、再浮上した際に、クールボーから発射されたヘッジホッグ対潜迫撃砲の不発弾体が甲板に残留しているのを発見、捕獲に成功しました。この捕獲により、日本軍はアメリカ軍の対潜兵器に関する貴重な情報を得ることができました。

回天特別攻撃隊への参加と最期

1944年12月上旬より、伊56は回天の発射訓練に従事。12月21日には、回天特別攻撃隊（金剛隊）として呉を出撃し、アドミラルティ諸島の米艦隊攻撃に向かいましたが、アメリカ軍の警戒が厳重であったため、攻撃目標に到達することができず、呉へ帰投しました。その後、1945年3月31日に回天特別攻撃隊（多々良隊）として沖縄方面へ出撃したのを最後に消息を絶ちました。

アメリカ側の記録によると、1945年4月5日、久米島付近で米大型上陸支援艇「LCS(L)(3)-115」が浮上航走中の潜水艦を発見し、付近を哨戒中の駆逐艦「ハドソン」に通報。「ハドソン」はレーダーで潜水艦を捕捉し、照明弾で照らし出した後、潜水艦は急速潜航しましたが、「ハドソン」はソナーで捕捉。6時間にわたる爆雷攻撃を行い、伊56を撃沈しました。この戦闘で、艦長の正田啓治少佐以下、回天搭乗員を含む乗員122名全員が戦死しました。沈没地点は久米島沖、北緯26度22分 東経126度30分。

1945年5月2日、沖縄方面で喪失と認定され、6月10日に除籍されました。

兵装

伊56は、竣工時から22号電探1基と逆探1基を装備していました。竣工時期が遅かったため、航空機の搭載はありませんでした。しかし、1944年11月に回天搭載工事が実施され、後甲板の14cm砲を撤去し回天4基を搭載しました。1945年3月の出撃前には、航空機搭載設備を撤去し、前甲板に回天2基を追加搭載、合計6基の回天を搭載しました。また、他艦の状況から、13号電探も装備していたと推測されています。

歴代艦長

伊56の歴代艦長は以下の通りです。

森永正彦 少佐：1944年6月8日 - 1945年2月1日
正田啓治 少佐：1945年2月1日 - 1945年4月5日戦死

まとめ

伊号第五十六潜水艦は、太平洋戦争中に数々の作戦に参加し、その生涯を終えた潜水艦です。米軍機動部隊への攻撃、回天特攻隊としての出撃、そして最後は米軍の攻撃によって撃沈されました。その乗組員たちの犠牲は、決して忘れてはならないものでしょう。

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