伊号第十一潜水艦

伊号第十一潜水艦：太平洋を駆け抜けた巡潜甲型潜水艦の生涯

伊号第十一潜水艦（伊11）は、日本海軍が建造した巡潜甲型潜水艦の3番艦です。1939年の第四次海軍補充計画に基づき川崎造船所で起工され、1942年に竣工しました。その艦歴は、太平洋戦争における激戦の歴史を物語っています。

竣工からオーストラリア方面での作戦

竣工と同時に呉鎮守府籍となった伊11は、第六艦隊第三潜水戦隊の旗艦として活動を開始しました。訓練後、クェゼリンを経由してオーストラリア東方沖に進出、数々の戦果を上げました。

1942年7月
7月20日：ギリシャ貨物船「ジョージ・S・リヴァノス」を雷撃により撃沈。
7月21日：米貨物船「コースト・ファーマー」を雷撃により撃沈。
7月22日：米リバティ船「ウィリアム・ドーズ」を雷撃により撃沈。

これらの攻撃で、伊11は連合軍の輸送船に大きな損害を与えました。

その後の作戦と損傷

その後も伊11は、8月にはソロモン諸島周辺海域に進出し、9月には米機動部隊への攻撃を試みました。この作戦で、空母ホーネットを攻撃するも、護衛の駆逐艦や航空機の反撃に遭い、損傷。蓄電池の破損や浸水などの被害を受け、一時的に潜航不能に陥りました。

応急修理後、1943年1月にはガダルカナル島南方沖での哨戒活動に従事しましたが、2月には航空偵察中にフロートを損傷。4月にはオーストラリア東海岸沖での作戦に参加するも、戦果は得られず。その後も、ニューカレドニア周辺海域で活動を続け、7月には重巡洋艦ホバートを撃破するなどの戦果を上げましたが、度重なる戦闘で徐々に消耗していきました。

終焉

1943年12月、伊11はエリス諸島方面へ進出。フナフチを偵察後、1944年1月11日の報告を最後に消息を絶ちました。アメリカ側の記録によると、フナフチ周辺に機雷が敷設されており、伊11はこの機雷に触れて沈没したと推定されています。艦長の伊豆壽市中佐以下乗員114名全員が戦死と認定され、1944年4月30日に除籍されました。

伊11の戦歴と評価

伊11は、太平洋戦争中に3隻の敵艦を撃沈し、2隻の敵艦を撃破するという戦果を上げました。特に、開戦初期から中期にかけての通商破壊戦において、その存在は連合軍にとって大きな脅威でした。しかし、度重なる戦闘と作戦行動により、最終的には消息不明となり、その生涯を終えました。

伊11の戦歴は、日本海軍の潜水艦戦における栄光と苦難を象徴するものであり、その活躍は後世に語り継がれるべきでしょう。


戦果
撃沈：3隻（16,348トン）
撃破：2隻（14,281トン）

歴代艦長
七字恒雄 中佐：1942年2月20日 - 1943年7月7日
田上明次 中佐：1943年7月7日 - 1943年10月10日
* 伊豆壽市 中佐：1943年10月10日 - 1944年3月20日 (戦死認定)

この潜水艦は、その卓越した性能と乗組員の勇敢さにも関わらず、戦争の激化とともに、その姿を消しました。伊11の物語は、太平洋戦争における潜水艦戦の厳しさと、そこに生きた人々の勇気を伝えています。

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