伊号第十七潜水艦

伊号第十七潜水艦：太平洋を駆け抜けた歴戦の潜水艦

伊号第十七潜水艦（以下、伊17）は、大日本帝国海軍が建造した伊十五型[[潜水艦]]（巡潜乙型）の2番艦です。特筆すべきは、アメリカ本土を艦載砲で攻撃した最初の潜水艦であるという点です。その艦歴は、太平洋戦争の開戦から終戦まで、激戦の歴史そのものでした。

艦歴

伊17は、1938年（昭和13年）4月18日に横須賀海軍工廠で起工され、1941年（昭和16年）1月24日に竣工しました。竣工後、第六艦隊第1潜水戦隊に編入され、太平洋戦争開戦時には同戦隊に所属していました。

真珠湾攻撃とアメリカ西海岸での通商破壊作戦

1941年12月8日の真珠湾攻撃時には、オアフ島北東沖で哨戒任務に就いていました。その後、アメリカ西海岸沿岸での通商破壊作戦に参加し、12月18日には、カリフォルニア州メンドシノ岬沖でアメリカの木材運搬船サモアを砲撃しました。また、同月20日にはタンカーエミディオを撃破、同月23日にはタンカーラリー・ドヘニーを攻撃するなど、戦果を上げました。しかし、エミディオは沈没は免れ、ラリー・ドヘニーは軽微な損傷のみにとどまりました。

アメリカ本土への砲撃

1942年2月24日には、伊17はサンタバーバラのエルウッド精油所を砲撃しました。この砲撃は、アメリカ本土に対する数少ない日本軍の直接攻撃の一つとして記録されています。

アリューシャン列島、ソロモン諸島方面での作戦

その後、伊17はアリューシャン列島方面の作戦に参加し、ウニマク島を偵察しました。ソロモン諸島方面に進出すると、アメリカ軍の空母エンタープライズの艦載機と交戦するなど、激しい戦いを経験しました。

ガダルカナル島での輸送任務

1942年11月には、ガダルカナル島への輸送作戦にも従事しました。駆逐艦綾波の艦長や甲標的乗員などを収容し、物資輸送にも貢献しました。

ラバウルでの作戦と救助活動

1943年1月以降は、ラバウルを拠点に作戦を展開しました。レンネル島沖海戦では、アメリカ軍の重巡洋艦シカゴの迎撃に向かうも、シカゴは空爆により撃沈されました。また、第八十一号作戦の生存者救助にも従事し、多数の兵士を救助しました。

最期

1943年8月、伊17はエスピリトゥサント島方面での作戦中に消息不明となりました。アメリカ側の記録によると、8月19日にヌーメア沖でニュージーランド軍の掃海艇トゥイとアメリカ軍の航空機による攻撃を受け、撃沈されたとされています。艦長の原田毫衛少佐以下、乗員97名全員が戦死しました。沈没地点は、ヌーメア沖のアメデ灯台南南東55浬地点付近です。

伊17の戦果と評価

伊17は、太平洋戦争において様々な作戦に従事し、数々の戦果を上げました。撃沈した艦船は2隻、計17,050トンにのぼり、商船1隻に損傷を与えました。また、アメリカ本土砲撃という特異な作戦も遂行し、その存在はアメリカ国民に大きな衝撃を与えました。しかし、戦争後半には輸送作戦や救助活動にも従事するなど、その役割は多岐にわたりました。

追悼碑

2013年夏、ニューカレドニアで伊17の戦没乗組員の追悼碑が建立され、その歴史と犠牲を後世に伝える試みがなされています。

伊17は、太平洋戦争の激戦を象徴する潜水艦の一つであり、その活躍は、日本の潜水艦戦史において重要な位置を占めています。

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