伊号第十二潜水艦

伊号第十二潜水艦について

伊号第十二潜水艦（いごうだいじゅうにせんすいかん）は、大日本帝国海軍が建造した潜水艦です。巡潜甲型改一（じゅんせんこうがたかいいち）という計画名で、伊九型[[潜水艦]]の4番艦として位置づけられています。

概要

1942年（昭和17年）のマル追計画に基づき、潜水艦甲、仮称艦名第620号艦として建造が開始されました。戦時中の資材不足と生産効率を考慮し、計画番号はS35Bに変更され、主機は低出力のものに変更されました。これにより、水上速力は17.7ノット、水中速力は6.2ノットに低下しました。しかし、燃料搭載量は増加し、航続距離は伸びました。また、竣工時期から22号電探を装備していたと推測されますが、図面や写真が残っていないため、詳細は不明です。

1942年11月5日に川崎重工業神戸造船所で起工し、1943年8月3日に進水、1944年5月25日に竣工しました。竣工後は横須賀鎮守府籍となり、訓練部隊である第六艦隊第11潜水戦隊に編入され、訓練に従事しました。

戦歴

1944年9月20日に神戸を出港し、訓練後、30日に呉に到着。10月4日に第六艦隊付属となり、通商破壊戦のため呉を出港しました。日本海を航行し、7日に函館に到着、8日に出港後、津軽海峡を通過し、北米大陸西岸、ハワイ、タヒチ、マーシャル諸島方面へ向かいました。

10月29日、東部太平洋において、米リバティ船ジョン・A・ジョンソンを発見し、雷撃により撃沈しました。ジョン・A・ジョンソンは、食糧や爆発物を積載し、サンフランシスコからホノルルへ向かっていた貨物船です。この攻撃により、ジョン・A・ジョンソンは船体が分断し沈没しました。

また、伊12は、救命ボートに乗っていた乗員に対し機銃掃射を行い、6名の乗員を戦死させました。この行為は、戦後、東京裁判で問題視されましたが、最終的に無罪となっています。

1945年1月15日、マーシャル諸島北方で連絡を最後に消息不明となりました。アメリカ側の記録にも残っておらず、沈没原因や正確な場所は不明です。艦長の工藤兼男中佐以下、乗員114名全員が戦死と認定されました。

1945年1月31日に中部太平洋方面で沈没と認定され、同年8月10日に除籍されました。

潜水隊

伊12は竣工と同時に第六艦隊第11潜水戦隊に編入されましたが、潜水隊には編入されないまま戦没しました。

艦歴

1942年（昭和17年）11月5日 - 川崎重工業神戸造船所で起工。
1943年（昭和18年）7月5日 - 伊号第十二潜水艦と命名、本籍を横須賀鎮守府と仮定、伊九型[[潜水艦]]の4番艦に定められる。
1943年（昭和18年）8月3日 - 進水。
1944年（昭和19年）5月25日 - 竣工、横須賀鎮守府籍。第11潜水戦隊に編入。
1944年（昭和19年）10月4日 - 第六艦隊直卒となる。呉を出港。
1944年（昭和19年）10月30日 - 米貨物船ジョン・A・ジョンソン撃沈。
1945年（昭和20年）1月15日 - マーシャル北方で敵に発見されたとの情報を最後に消息不明
1945年（昭和20年）1月31日 - 中部太平洋方面で沈没と認定。
1945年（昭和20年）8月10日 - 除籍。

潜水艦長

艤装員長
工藤兼男 少佐/中佐：1944年3月5日 - 1944年5月25日
潜水艦長
工藤兼男 中佐：1944年5月25日 - 1945年1月31日 戦死認定、同日付任海軍大佐

参考文献

雑誌「丸」編集部『写真 日本の軍艦 第12巻 潜水艦』光人社、1990年。 ISBN 4-7698-0462-8
世界の艦船 No. 469 増刊第37集 『日本潜水艦史』、海人社、1993年。
防衛研修所戦史室 戦史叢書 第31巻 『海軍軍戦備(1) -昭和十六年十一月まで-』、朝雲新聞社、1969年。

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