伊号第百二十四潜水艦

伊号第百二十四潜水艦

伊号第百二十四潜水艦（いごうだいひゃくにじゅうよんせんすいかん）は、大日本帝国海軍が運用した潜水艦です。伊百二十一型潜水艦の4番艦として、当初は伊号第二十四潜水艦（初代）という艦名で竣工しました。1942年、ダーウィン沖で戦没し、その短い生涯を終えています。

艦歴

建造と初期

1921年（大正12年）の艦艇補充計画に基づき、第五十二潜水艦として計画されました。1924年（大正13年）11月1日に伊号第二十四潜水艦と改名されました。神戸川崎造船所にて1926年4月17日に起工され、1927年12月12日に進水、1928年12月10日に竣工しました。横須賀鎮守府に籍を置き、竣工と同時に横須賀防備隊第9潜水隊に編入されました。

1935年5月25日、深々度潜航試験中にメインバラストタンクが損傷し、修理のため横須賀に戻りました。
1937年12月1日、第9潜水隊は第四艦隊第3潜水戦隊に編入されました。

改名と太平洋戦争

1938年6月1日に伊号第百二十四潜水艦と改名されました。
1940年5月1日、第9潜水隊は第5潜水戦隊に編入。同年10月11日には、横浜港沖で行われた紀元二千六百年特別観艦式に参加しました。
1941年5月1日、第9潜水隊は第三艦隊第6潜水戦隊に編入されました。

太平洋戦争開戦時には、伊123と共に第6潜水戦隊第9潜水隊を編成。1941年11月、伊124は横須賀を出港し、27日に海南島三亜に到着しました。太平洋戦争緒戦のフィリピンの戦いには、「伊号第百二十三潜水艦」と「伊号第百二十四潜水艦」の2隻のみが投入されました。2隻は12月1日に三亜より出撃し、伊号第百二十四潜水艦はマニラ湾口に機雷を敷設しました。この機雷によって、アメリカの貨物船コレヒドールとパナマの貨物船デイライトが沈没しました。その後、通航船の監視と気象観測に従事しました。

12月10日、サンフェルナンド近海で輸送船2隻を発見、0400には香港からシンガポールへ向かっていたイギリスの貨物船ハレルダーウィンを雷撃によって撃沈し、船長を捕虜としました。しかし、この後機関が故障したため、12月14日にカムラン湾へ帰投しました。

12月18日、カムラン湾から出撃し、マニラ湾外の哨戒を行い、12月31日にダバオに到着しました。

ダーウィン沖での戦没

1942年1月10日、伊124はダバオを出港し、14日にダーウィン沖のクラレンス海峡に到着。同日、アメリカの重巡洋艦ヒューストンと護衛艦2隻を発見しました。16日にはダーウィン近海に機雷を敷設しましたが、19日を最後に消息を絶ちました。

アメリカ側の記録によると、17日に米重巡洋艦ヒューストンが潜水艦2隻を発見したと報告しています。20日には、伊123が米給油艦トリニティへ攻撃を仕掛けました。その後、豪掃海艇デロレインが伊124を発見し、爆雷攻撃を行いました。この攻撃により、伊124は沈没し、乗員80名全員が戦死しました。沈没地点は南緯12度03分、東経130度09分と記録されています。

1月20日、ダーウィン近海で沈没と認定され、4月30日に除籍されました。

戦後

1958年、伊124の沈没地点が確認されましたが、引き上げには多額の費用がかかるため実現しませんでした。1972年にはオーストラリアのサルベージ会社によって再発見され、売りに出されましたが買い手はつきませんでした。

2014年には、護衛艦「はたかぜ」が日豪共同慰霊式に参加し、伊124の慰霊活動が活発化しました。2017年には、ダーウィン市内の丘に慰霊碑が設置され、2022年には乗員全員の名前を刻んだ新たな慰霊碑も建てられました。2023年には、船体周囲の砂が遺族に贈られ、呉海軍墓地顕彰保存会展示室などにも配られました。現在、船体は豪政府により「戦争墓所」として史跡指定、保護されています。

2024年11月17日には、中谷元防衛大臣が慰霊碑を訪問し、献花・黙祷を行いました。

歴代艦長

以下は、伊号第百二十四潜水艦の歴代艦長の一覧です。

艤装員長
原田覚 少佐：1928年6月15日 - 1928年12月10日
艦長
原田覚 少佐：1928年12月10日 - 1929年6月1日
加藤与四郎 少佐：1929年6月1日 - 1931年12月1日
竹崎馨 少佐：1931年12月1日 - 1932年3月3日
大倉留三郎 少佐：1932年3月3日 - 1933年11月15日
松村翠 少佐：1933年11月15日 - 1934年6月1日
藤本伝 少佐：1934年6月1日 - 1934年11月15日
大谷清教 少佐：1934年11月15日 - 1935年2月28日
（兼）長井武夫 少佐：1935年2月28日 - 1935年5月25日
（兼）服部邦男 少佐：1935年5月25日 - 1935年7月3日
栢原保親 少佐：1935年7月3日 - 1935年11月15日
内野信二 少佐：1935年11月15日 - 1936年2月15日
小泉麒一 少佐：1936年2月15日 - 1937年3月20日
山本皓 少佐：1937年3月20日 - 1937年7月31日
揚田清猪 少佐：1937年7月31日 - 1937年11月15日
柴田源一 少佐：1937年11月15日 - 1939年10月20日
（兼）藤井明義 中佐：1939年10月20日 - 1939年10月24日
黒川英幸 少佐：1939年10月24日 - 1940年3月20日
（兼）殿塚謹三 少佐：1940年3月20日 - 1940年4月24日
伊豆寿市 少佐：1940年4月24日 - 1940年10月30日
石川信雄 中佐：1940年10月30日 - 1940年12月20日
（兼）大倉留三郎 大佐：1940年12月20日 - 1941年1月31日
岸上孝一 少佐：1941年1月31日 - 1942年1月20日戦死

脚注

参考文献

雑誌「丸」編集部『写真 日本の軍艦 第12巻 潜水艦』光人社、1990年。ISBN 4-7698-0462-8
外山操『艦長たちの軍艦史』光人社、2005年。ISBN 4-7698-1246-9
木俣滋郎『日本潜水艦戦史』図書出版社、1993年。ISBN 4-8099-0178-5
福井静夫『写真日本海軍全艦艇史』ベストセラーズ、1994年。ISBN 4-584-17054-1
実松譲『情報戦争』図書出版社、1972年、172〜173頁。ASIN B000J9GVNM
防衛庁防衛研修所 戦史室『戦史叢書第24巻　比島・マレー方面海軍進攻作戦』朝雲新聞社

関連項目

機雷敷設艦
* 伊号第二十四潜水艦（二代）

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