伊号第二十四潜水艦

伊号第二十四潜水艦：太平洋戦争を駆け抜けた潜水艦の軌跡

伊号第二十四潜水艦は、大日本帝国海軍が保有した伊十六型潜水艦の5番艦です。第三次海軍補充計画に基づき建造され、1941年10月31日に竣工しました。同型艦の中でも、真珠湾攻撃や通商破壊作戦において重要な役割を果たしたことで知られています。本稿では、伊号第二十四潜水艦の艦歴を詳細に辿りながら、その活躍と悲劇的な最期を明らかにします。

艦の誕生と初期の活動

1938年12月5日、佐世保海軍工廠で起工した伊号第二十四潜水艦は、1939年11月12日に進水、翌1941年10月31日に竣工しました。竣工と同時に横須賀鎮守府籍となり、伊号二十五潜水艦とともに第六艦隊第一潜水戦隊第四潜水隊を編成、太平洋戦争開戦を迎えました。第四潜水隊は、伊号第二十四潜水艦にとって3代目にあたります。

真珠湾攻撃への参加と最初の損害

太平洋戦争開戦直後の1941年11月10日、伊号第二十四潜水艦は特殊潜航艇（甲標的）を搭載するための改装が完了しました。11月19日、甲標的を搭載して真珠湾攻撃に参加するため出撃。12月7日、真珠湾口付近で甲標的を展開させました。しかし、搭載艇はジャイロコンパスの不具合により予定通りの作戦行動が困難となり、米軍駆逐艦ヘルムによって発見され、砲撃を受けました。搭載艇は損傷し、乗員の一人は負傷、航行不能となりながらも、辛くも脱出を果たします。この攻撃で、太平洋戦争最初の捕虜が誕生しました。

ミッドウェー海戦と通商破壊作戦

真珠湾攻撃からの帰還後、伊号第二十四潜水艦はハワイ方面、ミッドウェー島方面へと向かいました。ミッドウェー島では、偵察活動や砲撃を行い、その後に横須賀に帰還しています。その後は呉に移動し、訓練を積む傍ら、様々な作戦に参加しています。ドーリットル空襲の際には、迎撃に向かいましたが、米機動部隊を発見できず、トラック島に移動しました。

シドニー港攻撃とオーストラリア近海での活動

1942年5月、伊号第二十四潜水艦はトラック島から特殊潜航艇を搭載し、シドニー港攻撃作戦に参加しました。しかし、この作戦でも不幸が襲います。搭載艇の蓄電池が爆発し、乗員の一人が死亡、もう一人の乗員は負傷しました。作戦目標を変更し、オーストラリア近海で通商破壊作戦を行いました。この作戦で、豪貨物船アイアン・チーフテンを撃沈し、その他多数の艦船を攻撃しましたが、シドニー港攻撃の目標は達成できませんでした。

ガダルカナル島沖海戦とソロモン諸島での活動

その後、伊号第二十四潜水艦はソロモン諸島周辺海域で哨戒任務に従事し、南太平洋海戦にも参加しました。米機動部隊への攻撃を試みましたが、命中させることができませんでした。ショートランド島を拠点に、ガダルカナル島周辺で哨戒活動を行いました。また、複数の甲標的を搭載して敵艦船への攻撃を行いましたが、搭載艇は消息不明となるなど、作戦は成功しませんでした。

物資輸送とアッツ島救援

1943年に入ると、伊号第二十四潜水艦はトラック島を拠点に、ラバウルとブナの間で兵員や物資の輸送任務に就きました。アッツ島守備隊の救援に向かいますが、守備隊が全滅していたため、キスカ島へ向かいました。キスカ島撤退作戦にも参加する予定でしたが、消息不明となり、終焉を迎えることとなりました。

最期の瞬間

アメリカ側の記録によると、伊号第二十四潜水艦は1943年6月11日、キスカ島近海で米駆潜艇PC-487の攻撃を受け、沈没しました。乗員104名全員戦死しました。撃沈された艦船は2隻、撃破された艦船は3隻にのぼり、その活躍は、太平洋戦争において重要な役割を担ったことを示しています。伊号第二十四潜水艦の艦歴は、太平洋戦争の激しさと、その中で戦った人々のドラマを物語る、重要な歴史的資料となっています。

もう一度検索