伊号第百六十九潜水艦

伊号第百六十九潜水艦の概要と歴史

伊号第百六十九潜水艦は、日本海軍において重要な役割を果たした潜水艦です。艦型は伊百六十八型に属し、1931年に三菱神戸造船所で起工されました。1934年には進水し、最終的に1935年に竣工しました。当初の艦名は伊号第六十九潜水艦でしたが、その後改名されました。

艦歴の詳細

伊号第百六十九潜水艦は、1935年に呉鎮守府に入籍し、同年の10月には伊号第168潜水艦と共に第12潜水隊を編成しました。1938年には艦型名が改正され、1941年には第3潜水戦隊第12潜水隊に属し、佐伯を出航しました。

ハワイ作戦への参加や、ミッドウェー海戦にも関与したこの艦は、数々の偵察活動や攻撃任務を遂行しました。1942年にはミッドウェー島の砲撃にも加わり、オーストラリア方面での活動も行いました。特に、1943年にオーストラリアからヌーメアへ向かう際には、蘭貨物船を雷撃によって沈める成果を上げています。

しかし、この艦の運命は1944年4月4日に大きく変わりました。この日、トラック夏島の北方で停泊中にアメリカ軍の空襲を受け、潜航した際に後部の通風筒が開いた状態となり、浸水を引き起こし沈没するのです。この事故により、103名の乗員が命を落としましたが、艦長や一部の乗員は奇跡的に難を逃れることができました。

沈没事故の詳細

沈没の際、艦内にあった軍事機密や遺体の処理のために艦橋や艦首が爆破されました。当時の状況は非常に緊迫しており、艦の生存者たちは地上との通信を試み、そのためにハンマーで内壁を叩いて情報を伝えようとしました。その努力にも関わらず、最終的には音が途絶え、この艦は静かに海中に沈むこととなったのです。

その後、日本政府は昭和48年に遺骨の収集を行い、見つかった遺骨は千鳥ヶ淵墓苑に納められました。現在、伊号第百六十九潜水艦はデュブロン島の北西、水深42mの海底に沈んでおり、艦体の一部は原型をとどめているものの、艦首周辺は爆破によって形跡が消えています。

歴代艦長

この艦には多くの艦長が在任しました。艦長には、宮崎武治少佐や堀之内美義少佐、篠原茂夫大尉などが名を連ね、彼らは艦の指揮を執る中で、数々の戦歴を残しました。特に、彼らは潜水艦の運用において高い技術と指導力を発揮し、戦争の激動の中でさまざまな任務を遂行しました。

結論

伊号第百六十九潜水艦は、その艦歴を通じて日本海軍の潜水艦として重要な役割を果たしましたが、悲劇的な沈没事故によりその任務を終えました。この艦についての記憶は、今もなお多くの人々に語り継がれています。

もう一度検索