伊土戦争

伊土戦争（1911年 - 1912年）

伊土戦争は、1911年9月から1912年10月までの間にイタリア王国とオスマン帝国の間で繰り広げられた戦争です。この戦争は、イタリアがオスマン帝国からトリポリタニア、フェザーン、キレナイカを獲得することとなる勝利で終わりました。イタリアはこれらの地域を一括してリビア州として統治し、植民地としての地位を確立しました。

戦争の背景

この戦争の背景には、北アフリカにおけるイタリアとオスマン帝国の対立があり、特に1878年のベルリン会議以降の国際政治の変化が影響を与えました。フランスがモロッコを占領する代わりに、イタリアがトリポリタニアを取得することを提案される場面もありました。こうした事情が次第にイタリア国内での植民地拡張の気運を高め、特に1905年と1911年のモロッコ危機がイタリアの膨張主義をさらに刺激しました。

1911年、イタリア政府がトリポリへの遠征を決定したのは、国内の経済的困難と膨張志向が結びついた結果でした。報道機関からは、トリポリタニアの豊かさが喧伝され、民衆の間で侵攻の支持が高まりました。最終的には、イタリア王国はオスマン帝国に最後通牒を送り、宣戦布告に至ります。

開戦と戦局の展開

開戦当日、イタリア海軍はオスマンの水雷艇を迎撃し、海上で優位性を確立しました。その後、トリポリ港への上陸戦が行われ、イタリア陸軍は迅速にオスマン軍を撃退し、トリポリを占領しました。しかし、戦局は次第に膠着状態に陥り、遅延戦術を用いるオスマン軍に対し、イタリア側も増援を送り込みました。

沿岸部を制圧したイタリア軍でしたが、内陸部フェザーンに対しては、ますます困難な戦闘を強いられました。両軍の戦闘は砂漠地帯での塹壕戦に移行し、長期化することとなりました。特にオスマン軍の指揮官エンヴェルが敗北の責任を問われる場面も発生し、戦局は膠着状態のままでした。

伊土戦争の終結

1912年に入ると、イタリア軍は海軍の優位を生かし、オスマン帝国に対する本土攻撃を展開しました。これによって、オスマン帝国の対応が苦しくなり、イタリアは優勢を維持しました。オスマン帝国は、1912年10月にローザンヌでの講和会議で様々な要求を受け入れることを余儀なくされ、正式に戦争は終結しました。

戦争の影響

この戦争は、オスマン帝国の崩壊が迫る契機となり、バルカン諸国に対しても大きな影響を拡大しました。伊土戦争によって、オスマンに対抗する勇気を与えられたバルカン諸国は連携を強化し、第一次バルカン戦争へとつながる流れとなります。さらに、伊土戦争は第一次世界大戦の引き金ともなり、国際情勢に大きな変化をもたらしました。

国際的には、イタリアの勝利は他の列強のバランスを揺るがし、トリポリタニアがオスマン帝国の核心地域であったことを考えると、イタリアの行動は地域の勢力構造を根本的に変えるものでした。このように、伊土戦争は単なる戦争以上の重要な歴史的事件であり、国際政治の動向に多大な影響を及ぼすことになりました。

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