伊地智啓

伊地智啓（1936年2月8日-2020年4月2日）は、日本の映画界に多大な貢献をした、名プロデューサーでした。兵庫県生まれ。早稲田大学文学部卒業後、1960年に日活撮影所助監督部に入社します。助監督としてキャリアを積み重ね、1971年にはプロデューサーに転身。その後、1977年に日活を退社しました。

セントラル・アーツを経て、1978年には長谷川和彦監督が設立したキティ・フィルムに参加。この会社での仕事は、伊地智氏の映画人生において大きな転換点となりました。長谷川監督作品『太陽を盗んだ男』、相米慎二監督作品『セーラー服と機関銃』など、数々のヒット作を世に送り出しました。これらの作品は、日本の映画史において重要な位置を占め、現在でも高い人気を誇ります。

キティ・フィルムでは、数々のヒット作を手がけた伊地智氏は、1992年には代表取締役社長に就任。その後、1995年にキティエンタープライズがポリグラムに買収されたことを機に、独立し、ケイファクトリーを設立しました。同社の代表取締役社長、会長を務めた後、2002年に退社。その後は、鹿児島県に移住し、新たな活動拠点としました。

プロデューサーとしてのキャリア以外にも、伊地智氏は多方面で活躍しました。2004年には、李相日監督作品『69 sixty nine』をプロデュース。2005年には、その功績が認められ、第28回日本アカデミー賞協会特別賞を受賞しました。また、2015年には自身の半生を綴った著書『映画の荒野を走れ プロデューサー始末半世紀』を出版。この本は、映画界の裏側や、プロデューサーとしての苦悩と喜びを赤裸々に描いたもので、多くの読者から高い評価を得ました。

伊地智啓氏が手がけた作品は多岐に渡ります。映画では、『黒い牝豹M』（1974年）、『炎の肖像』（1974年）、『東京エマニエル夫人』（1975年）など、話題作を多数制作しました。また、『あぶない刑事』シリーズなど、テレビドラマ制作にも携わっています。これらの作品は、長年に渡り人々に愛され続け、日本のエンターテインメント文化に大きな影響を与えました。

数々の受賞歴も伊地智氏の輝かしいキャリアを物語っています。1994年には第14回藤本賞奨励賞（『居酒屋ゆうれい』）、1995年にはエランドール賞プロデューサー賞を受賞。これらの賞は、伊地智氏のプロデューサーとしての卓越した才能を証明するものです。

2020年4月2日、膵臓癌のため84歳で逝去。日本の映画界に大きな損失となりました。しかし、彼が手がけた作品、そして彼が残した功績は、これからも多くの人々の記憶に残り続けることでしょう。伊地智啓氏は、日本の映画史にその名を刻んだ、真のプロデューサーでした。彼の功績は、後世の映画人たちに、大きな影響を与え続けることでしょう。

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