伊奈努

伊奈 努（いな つとむ）について

伊奈 努（いな つとむ）は、1934年10月1日に愛知県宝飯郡御津町（現在の豊川市）で生まれ、1984年9月1日に亡くなったプロ野球選手です。彼は1953年から1956年までは“伊奈 勉”という名義で活動していましたが、1957年以降は“伊奈 努”として知られるようになります。

経歴の概要

豊川高校に在学中の伊奈は、一塁手や投手を務めるマルチな選手でした。同級生には、後にプロで同僚となる外野手の足木敏郎や、審判員としてのキャリアを持つ久保田治がいました。1952年の夏には甲子園県予選で準決勝に進出しましたが、豊橋時習館高に敗れ、全国大会の舞台には立ちませんでした。

伊奈は1953年に名古屋ドラゴンズに入団し、プロ野球選手としての第一歩を踏み出します。入団初年度から一軍にデビューし、8月には先発としても起用されましたが、シーズン終了時点ではわずか1勝にとどまりました。1955年には4月に初の完封を達成し、最終的に5勝を記録しましたが、後半戦では成績が伸び悩むこととなります。

1957年に登録名を変更し、同年は12勝を挙げオールスターゲームにも出場。この時期、伊奈は投手としての存在感を強め、1959年にはチーム最多の57試合に登板し、16勝14敗、防御率2.53という素晴らしい成績を収めました。しかし、1960年シーズンでは序盤に故障に見舞われ、結果的に登板機会が減少します。

移籍と引退後

1960年オフに、伊奈は西尾慈高や星山晋徳との交換トレードで阪神タイガースに移籍しました。1961年には先発として起用され、4勝を挙げるなどの活躍を見せますが、1963年オフに現役を引退することとなります。

引退後は豊橋市でうどん屋を経営し、後輩の権藤博や星野仙一も頻繁に訪れ、親しい関係を築いていました。伊奈の店は彼の存在と情熱が込められた場所となり、地域の人々に愛されました。

1984年に49歳で他界した伊奈の訃報は、多くの人々に衝撃を与えました。権藤と星野は、伊奈の魂が込められたうどんが食べられなくなることを嘆き、彼を偲ぶ言葉を残しています。

記録・背番号

伊奈努のオールスターゲーム出場は1957年の1回のみでした。背番号は、入団当時の35から始まり、その後17と20を経て、選手としてのキャリアを全うしました。チーム名は、名古屋ドラゴンズから1954年に中日ドラゴンズに改称されており、伊奈はその一員として記憶されています。

総じて、伊奈努は中日ドラゴンズと阪神タイガースで活躍した投手であり、その人生はプロ野球界だけでなく、引退後も多くの仲間に愛された存在として記憶されています。

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