伊島薫

伊島薫：写真家、その軌跡と作品

伊島薫（いじま かおる、1954年 - ）は、日本の著名な写真家です。彼の作品は、ファッション、広告、音楽など、多岐にわたるジャンルで展開されています。

生い立ちとキャリア

1954年、京都府に生まれた伊島薫は、1980年代から写真家としてのキャリアをスタートさせました。1980年にはフリーペーパー『SALE』に参加し、1982年には式田純、ミック板谷と共にカセットマガジン『TRA』を創刊するなど、初期から多様なメディアで活動していました。

1983年頃からは、『流行通信』や『marie claire』といったファッション雑誌、広告写真の分野で頭角を現します。また、井上陽水、山下達郎、坂本龍一、高橋幸宏、松任谷由実、ムーンライダース、松下誠など、数多くのミュージシャンのアルバムカバーを手がけ、音楽業界にもその名を轟かせました。

代表作「死体シリーズ」

伊島薫の代表作として知られるのが、「死体シリーズ」です。このシリーズでは、小泉今日子や木村佳乃といった著名な女優をモデルに、衝撃的ながらも美しい作品を展開し、1980年代から1990年代にかけて高い評価を得ました。その独特な世界観は、観る者に強烈な印象を与え、写真界に大きな足跡を残しました。

多彩な活動と家族

伊島薫は、小池玉緒と結婚し、1988年に息子・伊島薫太朗を授かりました。小池の妊娠期間中には彼女のヌード写真を撮影し、写真集『TAMAO PHOTOGRAPHS 1984‐1988』として出版しています。その後、小池と離婚し、スタイリスト、ジュエリーデザイナーの安野ともこと再婚。次男で俳優の伊島空、長女の伊島青を授かっています。

1994年1月に創刊されたファッション誌『zyappu』（光琳社出版）では編集長を務めるなど、写真家としての活動にとどまらず、雑誌編集の分野でも才能を発揮しました。

近年では、ミュンヘン、ケルンを中心に、ロンドン、ニューヨークなど欧米諸国で個展を開催し、国際的な評価も高めています。2018年には、「あぶな絵 -針と糸、そしてけむり-」を京都場ギャラリーにて発表し、常に新たな表現を追求する姿勢を見せています。

アリゾナ五郎名義

アイドルやグラビアアイドルを撮影する際には、「アリゾナ五郎」という別名義を使用することがあります。この名義での作品は、伊島薫の作風とは異なる、ポップで親しみやすい魅力を持っています。

写真集

伊島薫は、数多くの写真集を出版しています。以下はその一部です。

Black and White Photographs （1992年、光琳社出版）
Color Photographs （1992年、光琳社出版）
TAMAO PHOTOGRAPHS 1984‐1988（1993年、光琳社出版）
新美人論I 桐島かれん （1993年、光琳社出版）
Hairmode （1994年、美術出版社）
カラード・ビューティ 新美人論Ⅱ 高野雅子 （1995年、光琳社出版）
死体のある20の風景 （1999年、光琳社出版）
眠る 松雪泰子 （2003年、朝日出版社）
最後に見た風景 （2004年、美術出版社）
Landscapes With a Corpse （2008年、Hatje Cantz）
ONE SUN （2009年、Akio Nagasawa Publishing）
虫螻 （2017年、タイフーンブックスジャパン）
* LINA『Hair Dance』（2022年、aliEnte）※アリゾナ五郎名義、デジタル写真集

伊島薫は、常に時代の先端を走り続け、写真という表現方法を通して、私たちに新たな視点を与え続けてくれるでしょう。

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