伊方古墳

伊方古墳の詳細解説

福岡県田川郡福智町に所在する伊方古墳は、6世紀末に築造されたと推定される、県内でも最大級の円墳です。伊方台地の先端近くに位置し、田川地方に残る古墳の中でも際立った規模を誇ります。

構造の特徴

伊方古墳の最大の特徴は、その横穴式石室です。全長11.6メートルにも及ぶ石室は、田川地区において最大級の規模を誇ります。かつては3室構造と報告されていましたが、2003年の詳細な調査の結果、複室構造であることが判明しました。この構造は、当時の高度な土木技術と建築技術を示すものと言えるでしょう。

発掘の経緯

1977年、伊方古墳は破壊の進行を防ぐため、福岡県の指定史跡となりました。その後、1997年に発掘調査が行われ、墳丘の測量や周溝の範囲確認、石室の実測などが実施されました。これらの調査によって、古墳の正確な規模や構造が明らかになりました。

規模について

福智町教育委員会の報告書によると、古墳の規模は以下の通りです。

古墳総長：約36メートル
墳丘：直径約32メートル、高さ約3メートル
石室：約11.6メートル
周溝：幅約2メートル

2003年には、遺構面保護のため底面に30センチの盛土が施され、墳丘の高さは約2.7メートルとなっています。

出土品

伊方古墳からは、当時の権力者の権威を示すような豪華な副葬品が多数出土しています。主なものとしては、金銅装（金メッキ）の馬具、須恵器、土師器などの土器類があります。これらの出土品は、当時の社会情勢や文化を研究する上で貴重な資料となっています。

現地情報

所在地：福岡県田川郡福智町伊方3946（福智町立伊方小学校の北側）
アクセス：平成筑豊鉄道金田駅から車で約5分
公開時間：内部は保存のため年2回（4月と10月）のみ公開。外部は常時見学可能です。
駐車場：あり（無料）

まとめ

伊方古墳は、その規模、構造、出土品などから、当時の権力者の墓として重要な古墳の一つとされています。古墳の内部は限られた期間しか公開されませんが、外観は常時見学可能です。歴史に興味がある方は、ぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか。

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