伊東勇

伊東 勇

福岡県に生まれた伊東勇（いとう いさむ）氏は、1948年9月6日生まれの元プロ野球選手（投手）です。地元の福岡第一高校で野球部に所属し、投手として活躍しました。

高校時代からプロ入りへ

福岡第一高校時代、チームは惜しくも全国高等学校野球選手権大会（夏の甲子園）出場は叶いませんでした。しかし、その潜在能力は高く評価されており、練習試合では、同年の春の選抜高等学校野球大会に出場した強豪校、小倉高校を打ち破るなど、印象的な実績を残しています。チームには、1年下には後にプロ入りする石井輝比古氏や井上正晴氏といった選手がいました。

1966年、高校卒業を迎えた伊東氏は、同年のプロ野球ドラフト会議では指名されませんでしたが、その年のドラフト会議で西鉄ライオンズは第一次選択会議でリストアップを見送ったものの、地元・福岡出身であり、かつ球団にとって手薄であった貴重な左腕本格派投手であることから、ドラフト外での入団が決定しました。当時の球団は左投手を求めており、伊東氏への期待は決して小さくありませんでした。

プロ野球選手としてのキャリア

西鉄ライオンズに入団後、伊東氏はプロの壁に直面します。プロ入り最初の2年間、1967年と1968年は、主に打撃投手としてチームの練習を支える日々が続きました。ファームで研鑽を積み、実戦での登板機会をうかがっていました。

そして、プロ3年目となる1969年に、ついに念願の一軍昇格を果たします。同年4月12日、北九州市営小倉球場で行われた近鉄バファローズとのシーズン初戦で、8回表二死の場面から3番手として救援登板し、プロ初登板を飾りました。この登板では1/3回を無失点に抑えています。

一軍での経験を重ねる中、同年5月16日には、東京スタジアムで行われたロッテオリオンズとの試合で、プロ入り後初めて先発のマウンドに上がりました。この試合は、当時ロッテのエースとして知られていた木樽正明投手との投げ合いとなりましたが、伊東投手は臆することなく投げ込み、6回2/3を投げて2失点と安定したピッチングを披露。これがプロ野球選手としての初勝利となりました。1969年シーズンは、この初勝利を含む2勝を記録しました。

しかし、その後は期待されたほどの活躍を見せることができず、成績が伸び悩んでしまいます。プロ野球の世界で定着するには至らず、1970年シーズンを最後に、惜しまれながらもわずかプロ4年間という短い現役生活に幕を下ろしました。投手としての武器は、キレのあるスライダー、緩急をつけるカーブ、そして食い込むシュートといった変化球でした。

記録と背番号

伊東氏のプロ野球選手としての主な記録は以下の通りです。

初登板: 1969年4月12日、対近鉄バファローズ1回戦（北九州市営小倉球場）、8回表2死から3番手で救援登板、1/3回無失点
初先発登板・初勝利: 1969年5月16日、対ロッテオリオンズ7回戦（東京スタジアム）、6回2/3を2失点で勝利投手

西鉄ライオンズ在籍時の背番号は以下の通りです。

73 （1967年）
39 （1968年 - 1970年）

短い期間ではありましたが、地元球団でプロの世界に足跡を残した左腕投手でした。

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