伊然可汗

伊然可汗（いねんかがん）は、8世紀前半の東突厥第二可汗国を統治した可汗です。彼は毘伽可汗（ビルゲ・カガン）の長男として生まれました。伊然可汗は可汗号であり、テュルク語のInäl qaγanを漢字で表記したものです。彼の治世は短期間で終わりました。

生涯

734年、父である毘伽可汗が大臣の梅録啜（ブイルク・チュル）によって毒殺されるという事件が起こります。これにより、伊然可汗が後継者として擁立されました。唐の玄宗は、この事態を受けて宗正卿の李佺を弔問使として派遣しました。同時に、伊然可汗を正式な可汗として承認し、碑廟を建立することを許可しました。碑文は、史官で起居舎人の李融が担当しました。

しかし、伊然可汗は即位から間もなく病死してしまいます。彼の死後、弟が後を継ぎ、登利可汗（テングリ・カガン）として即位しました。


妻

余塞匐


伊然可汗の時代背景

伊然可汗が即位した頃の東突厥は、唐との関係が安定し、比較的平和な時代でした。しかし、内部では権力闘争が絶えず、毘伽可汗の暗殺事件もその一例です。伊然可汗の短い治世は、東突厥の安定に寄与することはできませんでした。


まとめ

伊然可汗は、東突厥第二可汗国の可汗として短期間在位しました。彼の治世は、父の暗殺という不幸な出来事から始まり、自身の病死によって幕を閉じました。短い期間ではありましたが、彼の存在は東突厥の歴史において重要な意味を持っています。

参考資料

『旧唐書』（列伝第一百四十四上 突厥上）
『新唐書』（列伝第一百四十下 突厥下）
佐口透・山田信夫・護雅夫訳注『騎馬民族誌２正史北狄伝』（1972年、平凡社）

もう一度検索