護雅夫

護雅夫の生涯と業績

護雅夫（もりまさお）は、1921年3月30日に滋賀県長浜町に生まれました。彼の父は真宗大谷派の僧侶であり、家族の影響を受けて育ちました。旧制県立虎姫中学校を経て、1938年に第三高等学校に入学し、「自由寮」という環境で仲間との交流を深めました。

1941年には東京帝国大学文学部の東洋史学科に進学。その後、海軍兵学校に入校し、教官としての任務に就くことで、戦時中の厳しい経験を積むこととなります。戦後の1945年には復学し、大学院で研究を続けます。その際、和田清や榎一雄の指導を受け、アジア遊牧民の歴史に興味をもちました。

学術活動

1948年、護は北海道大学法文学部の助教授に任命され、内地及び東京大学の東洋史研究室で研究を行いました。調査活動として、網走市でのモヨロ貝塚の発掘に参加し、考古学の現場でも研究を深めました。1956年に東京大学文学部の助教授に就任した後も、彼の研究は広がりを見せました。

その後、護はロックフェラー財団の研究員としてトルコとドイツに留学し、イスタンブル大学やハンブルク大学で多くの学問的成果を上げました。1962年には東京大学から文学博士の学位を取得し、その後もトルコ民族史に関する重要な研究を重ねていきました。彼の主な論文として、「古代トルコ民族史研究 I」が挙げられ、これはその後の研究に大きな影響を与えました。

教育者としての役割

1968年に東京大学文学部教授に昇進し、教授としてだけでなく、国際的な研究交流にも力を入れました。イスタンブル大学での講義を通じてトルコ語での教育にも従事し、両国間の文化交流を促進しました。学界での功績が評価され、1992年には日本学士院の会員に選ばれました。

受賞歴と晩年

彼の研究成果は数々の受賞につながり、1970年には日本学士院賞を受賞、その後もトルコ共和国文化功労章などの栄誉を受けました。晩年は、藤沢市に移り住み、厳しい闘病生活を送りながらも執筆活動を続けましたが、1996年に肺炎で他界しました。死後には正四位に叙せられるなど、彼の業績は広く認められました。

護雅夫の著書や翻訳書は、トルコや内陸アジアの歴史理解を深める重要な文献となっており、歴史学界に多大な影響力を持つ人物であり続けています。彼の研究は、アジア文化への理解を深め、日本とトルコ間の学術交流の架け橋としても重要な役割を果たしました。彼の功績は、後の世代に渡って引き継がれています。

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