伊藤亀太郎

伊藤亀太郎：北海道を代表する土木業者、伊藤組の創業者

伊藤亀太郎（いとう かめたろう）は、文久3年12月26日（1864年2月3日）に生まれ、昭和19年（1944年）6月27日に没しました。彼は、北海道を代表する土木業者である伊藤組の創業者として知られ、日本の実業家・大工としても名を馳せました。越後国出雲崎（現在の新潟県出雲崎町）出身です。

生涯と業績

伊藤亀太郎は、宮大工の伊藤栄吉の次男として生まれました。1872年には、出雲崎の金泉栄吉の下で大工としての修行を始め、その技術を磨きました。1890年には小樽に移り、小林茂三郎の下で大工として働きました。

1893年、伊藤は小林茂三郎から独立し、「伊藤組」を設立しました。翌1894年には、伊藤組の木挽き工場を建設し、同年には田中銀次郎を支配人として迎えました。1898年には、阿部久四郎の下請けとして、旭川第7師団司令部庁舎を完成させました。この実績が日本陸軍に認められ、その後も元請けとして陸軍の仕事を受注するようになりました。

伊藤組は、その後も数多くの建築工事を手がけました。主なものとしては、1902年の函館区役所、1903年の北海道鉄道高島駅、1908年の樺太守備隊司令部庁舎、1908年の札幌駅舎、1910年の札幌中央郵便局、1918年の開道五十年記念北海道博覧会第一会場施設、1922年の北海タイムス社屋、1923年の北海道拓殖銀行小樽支店、そして1934年の小樽駅などが挙げられます。

伊藤は、建築に必要な製材業や山林も経営し、伊藤組の組員を夏季には建築現場、冬季には造材現場に向かわせることで、通年雇用を実現しました。これは、当時の建設業界においては画期的な取り組みでした。

人となり

伊藤亀太郎は、勤勉な性格で知られ、常に現場を回り、組員を第一に考えることを信条としていました。また、その人柄に惚れて、多くの人々が土地や家屋の購入を持ち込んだと言われています。

家族

伊藤亀太郎の息子には伊藤豊次がおり、孫には伊藤義郎、そしてひ孫には伊藤香一と伊藤美子の兄弟がいます。

伊藤組からの独立

伊藤組からは、後に田中組を設立した田中銀次郎や、樺太で企業・遠藤組を設立した遠藤米七など、多くの有能な人材が輩出されました。

社会貢献

1916年には、札幌土木建築業組合の設立に参画し、初代組合長（～1921年）を務めました。その他、札幌商業会議所議員や北海道札幌区土木委員、定山渓鉄道役員、札幌銅鉄株式会社役員など、多くの公職も務めました。

伊藤亀太郎は、北海道の土木・建築業界の発展に大きく貢献した人物として、その名が語り継がれています。

参考文献

* 高木正雄『北海道建設人物事典』（北海道建設新聞、2008年）

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