伊藤宗看 (初代)

初代伊藤宗看

初代伊藤宗看（1618年 - 1694年）は、江戸時代初期に活躍した将棋指しであり、三世名人の地位に上り詰めた人物です。

経歴

出雲国（現在の島根県）に生まれた伊藤宗看は、二世名人の大橋宗古の娘婿でした。宗古の支援を受け、寛永12年（1635年）に新しい家元である伊藤家を創設しました。当時、宗看は18歳という若さでした。

しかし、伊藤家の創設に反発する本因坊門下の棋士たちは、次々と宗看に挑戦を挑みました。宗看はこれらの挑戦を果敢に受け、松本紹尊などの強豪棋士を相手にいずれも勝ち越し、伊藤家の権威を確固たるものとしました。特に有名なのが、「是安吐血の局」と呼ばれる対局です。

これらの実績が認められ、承応3年（1654年）には、先代名人の宗古の死を受けて、三世名人を襲位しました。当時、宗看は37歳でした。生前の元禄4年（1691年）には、実子の五代伊藤宗桂に名人の位を譲っています。

寛文2年（1662年）には、将棋が寺社奉行の管轄となり、幕府は大橋本家と伊藤家に対し、京都から江戸への移住を命じました。

詰将棋

宗看は、慶安2年（1649年）に詰将棋百番「象戯図式」（通称：将棋駒競）を献上しました。この功績により、八段に昇進し、次期名人候補として目されるようになりました。この詰将棋の献上が、名人襲位前に詰将棋を献上するという慣習の始まりとなりました。また、宗看は詰将棋において、手余り（詰みの局面で持ち駒が余る）を廃止しました。

是安吐血の局

是安吐血の局とは、伊藤宗看と檜垣是安との間で行われた対局のことです。この対局は、角落ちと香落ちの二番勝負で行われましたが、どちらを先に指すかの規定がなく、振り駒で決めることになりました。これが、現在の振り駒の始まりであるとされています。

最初に右香落ちの対局が行われましたが、宗看必勝の手合割であったにもかかわらず、是安が勝利しました。伊藤家家元の権威を守るため、宗看は背水の陣で次局に臨むことになりました。

角落ちで行われた二番目の対局は、鬼気迫る終盤戦の末、宗看が勝利しました。しかし、是安は対局後、精魂尽き果てたかのように吐血し、死亡したと伝えられています。ただし、実際にはこの対局の7年後に是安の棋譜が残っており、吐血による死亡は俗説である可能性が高いです。

脚注

名人 (将棋)

外部リンク

詰将棋博物館 - 「将棋駒競」が鑑賞できます。

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